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ネットの海で物語る【第17回】商業デビュー後の変化

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商業デビュー後の変化

Kouboを利用している皆様、こんにちは。蜂賀三月です。
日々小説執筆に励む皆様のなかには商業デビュー・書籍化を目指している方も多いのではないでしょうか。今回は、商業デビュー後の変化についてお話します。

商業デビュー後の創作活動はどうなる?

ほとんどの方は、商業デビュー後も小説を書き続ける選択をすると考えられます。 1冊だけでなく、2冊め、3冊めと作品を出していきたいですよね。 では、商業デビュー後はどのように小説を書いていけばいいのでしょうか。

前提として、デビューした経路(公募新人賞受賞・投稿サイト拾い上げなど)、デビュー元出版社、自分の出した作品やジャンル、作品の売れ行き、作家としての特性、自分自身の能力や環境などにもよって変わるので一概には言えません。

ざっくりですが、以下のようなパターンがあります。

デビューした出版社で、担当編集と一緒に次作を作っていく。
デビューがきっかけで、他の出版社・編集から声をかけてもらえる。
デビュー作が目に留まり、既存作(小説投稿サイト等に応募していた作品など)が拾い上げされる。
デビュー作をひっさげて自ら営業する。
再度公募に挑戦する。(または、小説投稿サイトに投稿していく)

①②③のチャンスが訪れた場合は安心できるのですが、そのチャンスの機会が訪れないパターンも少なくありません。また、チャンスが訪れた場合でも企画が頓挫してしまう可能性もあります。
その場合は、再度公募新人賞等に作品を出していくことになります。
厳しい世界だなぁ……と感じるかもしれませんが、実際に厳しい世界なのです。

デビュー後の変化

ただし、商業デビュー前と商業デビュー後では変化することがあります。
それは、自分の立場が「アマチュア」ではなくなっていることです。

どこからがアマチュアでどうなっていたらプロなのか。
定義は難しく、色々な考え方や意見もあると思いますが、少なくとも「新人」ではありません。 いくら作品が売れなかっても、文章が拙くても、それは変えられない事実なのです。

新人じゃないということは、応募できる公募が限られることを意味します。

「アマチュアのみ」「新人に限る」などの表記が要項に書いているものには応募できません。

もし憧れの新人賞・小説公募がある場合は、要項をよく確認してみてください。

どこからがデビューとなるか

次に気になるのは、どこからが「デビュー扱い」になるのかという点だと思います。

私は小説公募の情報を発信するサイトを運営しているのですが、「どこからがデビュー扱いですか?」という質問がよく届きます。

まず、商業の場で単著(自分だけの名義で1冊の本を出す)場合はほぼ確実にデビューです。
ですが、それ以外にも商業の場と関わることもありますよね。
短編小説のアンソロジー本への作品収録などが例に挙げられます。
これは商業出版なので、新人ではなくなるのでしょうか?

実は、応募資格を失っていないケースが多いです。

・アンソロジー本・短編集での作品収録
・電子書籍専門レーベルでの出版
・自費出版での出版経験
・地域の冊子に作品掲載
・Kindleダイレクト・パブリッシングなどのセルフ出版サービス

これらの実績・経験は新人とみなして応募を受け付ける公募も多いようです。 しかし、最終的に「どこからが良くてどこからがダメ」なのを決めるのは、主催者です。 応募する公募の応募要項を穴が開くほど見て、それでも判断が難しい場合は主催者に問い合わせするのもひとつの手です。ただし、一部の公募新人賞では公募に関する質問を一切受け付けていない場合もありますのでご注意ください。そういうケースは胸を張って新人と言える内に応募しておくのが吉です。

<補足>
今回の話はあくまでも公募賞での取り扱いの話です。

「〇〇をするんですがデビューしたと言っていいですか?」
「小説家・作家と名乗っていいですか?」
「どこからがプロですか?」

このような声も散見されますので、念のため補足しておきます。

小説家・作家は試験が必要な資格ではありません。
自分が小説家と名乗りたければ名乗ればいいだけの話ですし、絶対に名乗る必要もありません。小説の仕事をしている方でも、肩書を「ライター」や「物書き」としている方も少なくありません。

デビュー前でも、デビュー後でも、自分が活動しやすいと思える肩書を名乗ってくださいね。

次回は小説から少し離れて「エッセイ公募」についてのお話をする予定です。

※次回は3/6(水)更新予定です。


■profile
蜂賀三月 (はちが みつき)
小説家。ショートショート、児童書、YA小説をメインに執筆活動を行う。著書に『絶対通報システム~いじめ復讐ゲームのはじまり~』(スターツ出版)、 短編小説収録『5分後に奇跡のラスト』(河出書房新社)など。小説情報メディア 「WebNovelLabo」 を運営。