完全!文章系応募マニュアル2:失敗しないワープロ書式術


読みにくい書式
読みにくいワープロ原稿とは、どんなものでしょうか。
❶原稿用紙に印字してある。
❷文字が小さい。
❸書体が明朝でない。
❹横書きにしている。
❺段組みにしてある。
❻余白が狭い。
❼字送り空き過ぎ、行送り詰まり過ぎ
ワープロ原稿は原稿用紙の設定にせず、無地の白紙に印字します。文字は10.5ポイント~12ポイントぐらいが標準で、書体は普通の明朝を使います。奇をてらった書体は厳禁です。
文章もの、特に文芸と言えるジャンルは縦書きにします。記号類も含め、半角は使わないこと。一つのスペースに一つの文字(または記号)を書きます。
原稿はA4の設定とし、向きは横位置にします(シナリオをB5で書く場合は縦位置)。段組みはせず、上下左右の余白は20㎜~30㎜はとります。
字送りは文字と同じ大きさにし、行送りは文字の大きさの1.5倍~2倍ぐらいに設定します。
字送りを文字と同じ大きさにしたことで余白が大きくなってしまってもかまいません。よく字詰めと余白を優先し、字送りの数値を大きくし過ぎた原稿を見かけますが、原稿としては最悪です。
右には、良い書式の例と悪い書式の例を挙げました。

良い例のほうは、書体は明朝、文字の大きさは12ポイント、字送りも12ポイント、行送りは22ポイントです。字詰めは20字×30行になっていますが、字送りと行送りが適正であれば、これは40字×30行や、30字×40行でもかまいません。
ただ、400字詰原稿用紙の枚数に換算しやすいほうが(応募者本人も)やりやすいかもしれません。
もちろん、応募要項に指定がある場合はそれに準じます。
悪い例のほうは、本文には向かないポップな書体を使っているうえ、文字の大きさ12ポイントに対し、字送りは倍以上の28ポイントで、だから、字がぽつぽつぽつという感じです。また、行送りは20ポイントで、これは字の大きさに対して狭過ぎ。下手したら横書きに見えてしまうかもしれません。余白は5㎜もなく、ノンブル(ページ数)の数字がかぶってしまっています。
ワープロ原稿の落とし穴
ワープロは、なんでも漢字変換してくれて便利ですが、それゆえに、注意しないと漢字だらけになってしまいます。
たとえば、手書きなら「こちらでございます」「ごぶさたしております」と書くところ、ワープロだと「此方で御座います」「御無沙汰して居ります」などと書いてしまいます。
「薔薇」とか「魑魅魍魎」といった漢語はある程度は意味がとれるところがありますが、「努々(ゆめゆめ)」「夙(つと)に」といった和語は読めないとどうにもならないところがありますから注意が必要です。
左ページの例文のように、戦前に書かれたものは漢字が多めで、「無かった」の「無」や「こう言った事が」の「事」は今はひらきます。表記に関しては、古い作品は範としないでください。
良い例
悪い例:字送り空き過ぎ、行送り詰まり過ぎ、余白狭過ぎ
※本記事は「公募ガイド2013年9月号」の記事を再掲載したものです。