公募の裏側、大公開!1:編集部が調べました!
公募はいかにして企画されるか
公募はどんなきっかけで企画されるか
今回、公募を実施している40の主催者にアンケートを行ったところ、公募実施のきっかけでもっとも多かったのは「周年事業」でした。
市制10周年、創立30周年、開館5年など、大きな節目に行われる記念事業がこれにあたります。
この「周年事業」は全体の6割を占め、断トツで最多でした。
これと似ているのが、「合併・統合」と「団体設立・施設オープン」で、「0周年記念」という意味では周年事業の一種と言えます。
それ以外は「隣のまちでもやって成功したから」「市民による全員参加にしたかったから」「話題づくりをしたかったから」などの回答があり、それらは「その他」としてまとめています。
公募の誕生3つのケース
「公募をしよう」と思うときはいつかというと、三つあります。
一つ目は、募集や発表を通じて普及させたい、宣伝したいものがある場合です。
二つ目は、純粋に作品や人材がなくて困っているというとき。「シャッター商店街の活用アイデア」といったものがこれにあたります。
三つ目は、公募で決めたということ自体を広く知らしめたいとき。市章や市民歌などはトップダウンでコレですと披露すると、誰がいつ決めたんだと批判が出るものですが、募集から審査まで公表すればそんな批判もなくなるからです。
公募を実施するのはなぜ?その目的を六つに分類
公募の目的とはなんでしょうか。ここでは六つに分類してみました。
- 文化事業:郷土の偉人を顕彰したり、伝統文化の振興を意図した公募。営利の意図はありません。
- 啓蒙・啓発:交通安全のポスター、人権に関する作文などが端的な例。世の中をよくするような訴えがあります。
- 新人発掘・イベント振興:有為な新人に作品発表の場を与え、表彰することで、有望な人材を発掘する公募イベントです。
- 消費拡大・普及:業界団体や協会などが、消費の拡大や普及を促進させる目的で実施する公募。緩やかな販売促進。
- 事業の周知・地域PR:主催者や事業の周知徹底を図るものや、地域PR、まちづくりに資する公募。非営利団体主催が多い。
- 販売促進・製品PR:新製品や店舗、ブランドの宣伝のための公募。企業が多いが、近年は地域ブランドのPR目的の公募も。ほか、細かく分類するときりがありませんが、公募には目的があって、その目的に合致した作品が選ばれることは意識しておきましょう。
公募の目的とともに作品の使い方も考える
主催者は何を求めているだろうかと考えるのは基本ですが、さらに言うと、作品はどのように使われるかということも考えると、大外れがなくなります。
たとえば、脚本公募や、小説公募でも映像化を意識したものの場合、よく言われるのはSFや時代ものは予算の関係でつらいということ。ジャンル不問とあっても、受賞するにはハンディがあります。
キャラクター募集の場合も実物制作が困難というものは採用されないでしょうし、夢の実現を支援するという趣旨の公募の場合も実現不可能な案は採用されません。
作品はどのように募集されるか
公募していることをどう知らせているか
公募をどう告知するかにはさまざまな手段がありますが、当然ながら、どの主催者も必ずやるのが自社媒体での告知です。つまり、新聞社なら新聞、出版社は雑誌、自治体は広報紙で告知します。
また、昨今はどの主催者もホームページを持っていますから、そこでも告知しますし、ツイッターやフェイスブックなどSNSで告知するケースもあります。
しかし、SNSに掲載しただけでは応募は集まりませんので、大半の主催者は公募ガイドのような専門誌やサイトに掲載依頼をし、応募の導線を引いています。
穴場を探すなら投稿
規模の大きな公募ではテレビCMや新聞広告をする場合もありますし、リリースを配信して新聞に記事掲載するケースもあります。
一方、公募というよりは投稿の場合、告知は自社媒体だけになり、しかも、テレビやラジオといった媒体の場合、毎週締切とか、今日の午前中に募集して午後発表というようなものもあります。
そうした〝足の早い〞公募は、普通に考えれば応募数もあまり多くはありませんから、絶好の穴場となってくれます。新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどにけっこう穴場がありますから、ぜひ身近なところを探してみてください。
主催者を悩ませるあんな応募、こんな作品
なんだか梱包がえらい厳重だ!
絵画等ではなく原稿の募集なのに、頑丈な封筒をさらに厚紙で補強し、ガムテープでこれでもかと封をしてある。やっとの思いで開封したら、さらにビニールにくるんである。封筒開けたらすぐ原稿って状態が理想です。
規定枚数と違う!
規定は30枚なのに、どう考えても倍はある。ボツ原稿を審査に入れるわけにはいかないから、字数を数える。うーん、用紙1枚で3枚分、それが30枚だから、ああやっぱり枚数超過だ、ってこんなことしていたら1日が終わるっ!
タイトルや名前が書かれていない!
作品にタイトルや名前が書かれてない! ボツにしてもいいが、せっかく応募してくれたのだからと、事務局にて別紙から転記する。逆に表紙に住所や電話番号が書いてあれば、ペンで黒塗りにする。終戦直後の教科書みたい。
前のと差し替えてくださいって?
応募したあと、「修正しましたので前のと替えて」と原稿が届く。このたくさんの作品の中から前のを探せって? 無視したいが、仕方なく原稿の山をひっくり返す。そういうやり直しがきかないのが公募ってこと、自覚して!
作品の集まり具合のパターン
募集が始まって、早ければその日のうちに応募があることもありますが、本格的に作品が集まりだすのはもっとあとで、募集期間の中盤でも全体の3割ぐらい。残り7割は、最後の1〜2週間に集中します。
構想がまとまっていても書きださない人もいますし、締切が近くなって追い込まれないといいアイデアが出ない人もいます。
また、早めに書き上がっても締切日まで推敲し続ける人もいますし、書き上がったあと、いったん寝かし、締切が近づいたら最後にもう一度見直して応募する人もいますから、必然的にどの公募も締切間際に応募が集中します。
主催者の目に見えない地道な努力
作品が届くと、主催者は作品を保管、開封し、厚紙など不要物を廃棄、規定違反をチェックします。
氏名の書き漏れがあれば書き加え、「一生懸命書きました。よろしくお願いします」といった文言、審査の妨げになる一切のものは消す、または取り除きます。
さらに、生原稿を複数の審査員に同時に送るとき、または控えをとっておきたいときは、作品をコピーしておく場合もあります。用紙のサイズが指定されている場合は、小さいなら拡大コピーし、大きいなら縮小コピーします。これはかなり厄介な作業です。
Column:応募者としての学び
公募の場合、早く出したほうがじっくり審査されるわけではありません。たいていは締切後にまとめて審査するからです。
逆に、募集が始まってすぐに出すと、「あまり練った作品ではなさそうだ」と思われる可能性もあります(思われても審査には影響しませんが)。
似たような作品を大量に送るのもあまりいい印象を持たれません。書いたものをすべて応募する方もいますが、なんでもかんでも出すのではなく、できれば自分の中でのベスト1、多くてもベスト3ぐらいまで絞ることをお勧めします。
推敲は最後の最後までやりたいものですが、万一のことを考え、締切の前日ぐらいには出したいです。宅配で応募する人もいますが、その場合は消印が付きませんので、締切日には到着しているように出しましょう。
※本記事は「公募ガイド2015年12月号」の記事を再掲載したものです。