「『願はくは花の下にて春死なむ』の真実とは?西行研究60年の碩学が明かす歌聖の素顔が毎日出版文化賞を受賞」
日本文学界に朗報が届いた。西行研究の第一人者である寺澤行忠氏の著書『西行 歌と旅と人生』(新潮選書)が、第78回毎日出版文化賞(人文・社会部門)を受賞した。30年にわたる基礎研究の集大成ともいえる本書は、現代に誤って伝えられてきた西行の和歌を本来の姿に復元し、その真の魅力に迫る意欲作として高い評価を得ている。
選考委員を務めた沼野充義氏は「多くの読者にとって新たな最良の贈り物」と絶賛。『新古今和歌集』に最多の94首が選ばれた歌聖・西行の知られざる素顔が、184首の名歌とともに鮮やかに描き出されている。
本書の特筆すべき点は、西行の出家の真相や「桜」への並々ならぬ思い、さらには現代の花見文化への影響など、多角的な視点から西行の全体像に迫っている点だ。特に注目すべきは、仏教と神道の共存における西行の役割や、松尾芭蕉への影響関係など、文化史的な側面からの新たな発見が随所に散りばめられていることである。
著者の寺澤氏は、「西行に心を寄せる方々に、心静かに繙いていただけるなら、よろこびこれに過ぎるものはありません」と、研究者としての誠実な姿勢を示している。1942年東京生まれ、奈良県育ちの著者が、生涯をかけて追い求めてきた西行像が、ついに一冊の本として結実したのである。
新潮社では受賞を記念し、新たな受賞帯を巻いた装丁で全国の主要書店に展開する予定だ。定価1,760円(税込)という手に取りやすい価格設定も、より多くの読者に西行の魅力を届けたいという出版社の意気込みを感じさせる。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001740.000047877.html