文京区立森鴎外記念館で、2025年1月18日から4月6日まで、コレクション展「鴎外の妹・喜美子の家族 ―森家と小金井家―」が開催される。この展覧会は、森鴎外の妹である小金井喜美子の文学活動と、森家・小金井家の交流を紹介する貴重な機会となっている。

小金井喜美子（1870～1956）は、明治の女性文学者として高く評価されてきた人物だ。東京女子師範学校附属高等女学校（現・お茶の水女子大学附属高等学校）で学んだ後、欧州文学の翻訳や随筆、小説、短歌の創作活動を行った。彼女の才能は、兄である森鴎外にも認められ、鴎外は喜美子の学業と執筆活動を熱心に応援したという。

展示では、喜美子の著作や鴎外ら家族の日記、書簡などの貴重な資料が公開される。特に注目すべきは、鴎外が喜美子に宛てた書簡だ。そこには、身内ならではの率直さと、文学を志す仲間としての信頼が垣間見える。また、喜美子自身の自筆原稿『ゆく春』や、70歳の時に出版した歌文集『泡沫千首』なども展示される予定だ。

本展は、文学史の中で見過ごされがちだった女性作家の存在を浮き彫りにする。喜美子の人生は、当時の女性が直面した家庭生活と文学活動の両立の難しさを物語っている。しかし同時に、彼女の才能と努力が、いかに周囲の支援を得て開花していったかを示す興味深い事例でもある。

展覧会に合わせて、ミニ展示ガイドの販売や講演会「小金井喜美子の歌世界」の開催も予定されている。また、展示室1では「鴎外の弟・篤次郎と潤三郎」というコーナー展示も同時開催される。

文学ファンはもちろん、明治期の家族関係や女性の社会進出に興味がある方にとっても、見逃せない展覧会となりそうだ。森鴎外記念館で、文豪の影に隠れがちだった才媛の軌跡を辿ってみてはいかがだろうか。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000075036.html