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【図書館司書が語る】童話公募志望なら知っておきたい いま子どもたちはどんな本を読んでいるのか 2025

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毎年定期的に開催されることが多い、童話公募。

童話・児童文学公募 締切発表スケジュール | 公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

大人向けの小説に比べて文字数も少ないのに、いざ書こうとすると難しいですよね。特に幼年童話(就学前から小学校1、2年生ころまでの子ども対象の童話)は、「大きい子どもへの作品なら、小説家でもかけないことはないが、幼年のためにかくということになると、全く特別の能力が必要である。それこそほんとうの児童文学作家でなければ、出来ない、ちょっとおそろしいほどの仕事でもある(川崎大治「幼年童話の創作方法」」より)と言われるほど。

そこで今回は「子どもが好きな本」にアプローチしながら、作品を書くためのヒントを探ってみたいと思います。

オトナと子ども、好きな本の不一致問題

子どもに本をプレゼントしたけれど、あまり読んでもらえずガッカリ…。「え?その本のどこがおもしろいの?」と思う本が、子どものツボだった…そんな経験はありませんか? 児童文学評論家・赤城かん子さんも、「大人が読ませたい本は、子どもが読みたい本ではない」(『絵本・子どもの本総解説』より)と言っています。

人はだれでも「子ども性」を持っているといわれています。長くオトナでいるうちにそのことを忘れてしまうようです。子どもの「好き」を知るための第一歩は、私たち大人が「子どものココロ」を取り戻すことかもしれません。

司書は見た!子どものホンネ

では、イマドキの子どもたちはどんな本を読んでいるのでしょう。私が勤務していた小学校には毎週1回、図書室で読み聞かせや読書をする「図書の時間」がありました。子どもたちは毎回、好きな本を楽しそうに選んでいました。「リズミカルで楽しい本」、「異世界へ誘うファンタジー」、そして「自分の気持ちを代弁してくれる物語」は、発達過程に寄り添う本としても最適で、子どもたちも大好き。

不動の人気は、親世代にもファンが多い『ぐりとぐら』『バムとケロ』シリーズなど。また、『うそつきのつき』や『うしはどこでも「モ~!」』のような「ことばあそび」の本は、読み聞かせでも盛り上がります。他には、アニメの原作本や、知らない世界を旅する感覚が楽しい『100かいだてのいえ』シリーズは、本嫌いな子どももよく読んでいました。

ぐりとぐら バムとケロのさむいあさ うそつきのつき うしはどこでも「モ~!」 100かいだてのいえ

子どもたちに人気の本を知りたいときは、「こどもの本総選挙」や「絵本ナビ」がおすすめ。

小学生がえらぶ!“こどもの本” 総選挙

絵本ナビ 子どもに絵本を選ぶなら

 

教科書に掲載されている作品や作家も密かな人気(これは中学生や高校生にも共通する傾向!)。教科書は公共図書館にも置いてあるので、ぜひチェックしてみてくださいね。

なかでも注目は、『ぐりとぐら』で知られる中川李枝子さんの『くじらぐも』。小学校1年生の4時間目、校庭で体操をしていた1年2組の子どもたちが、空に現れた大きな雲のくじらに乗り、海、村、町の方へと進み、みんなで歌を歌い、お昼頃に校庭に戻ってくるというお話で、小学校1年生の教科書に長年掲載されています。

中川さんは作品を書くにあたって、「何としてでも1年生にいやがられない、苦痛を与えない、学校ぎらいにさせない『楽しい話』を書かなくてはならない」という思いで臨み、「子どもの性別や能力にかかわらず、どんな子も引きつけられるようにする」ことに注力されたそうです。心にとめておきたい言葉ですね。(※)

※出典: 『小学校国語科 物語の教材研究大全1・2年』 明治図書出版株式会社 (2023年)

 

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