「多様性」を描いた兄弟の物語が大賞に!第33回小川未明文学賞、初の一般公開で贈呈式


新潟県上越市の児童文学の登竜門、第33回小川未明文学賞の贈呈式が2025年3月29日に開催された。今回は初の試みとして一般公開で行われ、多くの文学ファンが見守る中、大賞と優秀賞の受賞者が表彰された。
大賞に輝いたのは、大阪府の黒田季菜子さんの長編作品「ほーちゃんと、旅に出る」。小学5年生の少女が主人公となり、障害のある兄のために修学旅行の計画を立てる物語だ。個性と多様性を優しく描いた本作品は、選考委員から「相手を思いやる優しさや、縁のつながりを感じさせる」と高い評価を受けた。
黒田さんは受賞の喜びを語る中で、「多様性という言葉が、未来を生きる子どもたちにとって、善いものを指す言葉になればいい」と作品に込めた思いを明かした。この大賞作品は、2025年11月頃にGakkenより書籍化される予定だ。
一方、優秀賞には東京都の岩田早苗さんの「まねき猫よろず相談所」が選ばれた。オスのミケ猫を主人公とした軽妙な文体の物語で、「存在しなくていいまねき猫はいない」というテーマが人間社会にも通じると評価された。
今回の小川未明文学賞には過去最多となる639編の応募があり、児童文学への関心の高まりを示している。また、メールでの応募受付を開始するなど、時代に合わせた取り組みも行われた。
贈呈式では、ジュニア合唱団による未明作品を基にした創作合唱も披露され、文学の魅力を多角的に伝える場となった。上越市の中川市長は、受賞者たちが今後も小川未明の文学精神を担っていくことへの期待を述べ、式を締めくくった。
小川未明文学賞は、上越市出身の児童文学作家・小川未明の精神を継承し、新しい時代にふさわしい児童文学作品の創出を目指して1991年に創設された。今後も、多様性や個性を尊重する作品が生まれることが期待される。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000007484.000002535.html