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あなたとよむ短歌 テーマ詠「謎」結果発表 ~どんな言葉を歌にするか~

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結果発表

テーマ詠で短歌を募集し、歌人・柴田葵さんと一緒に短歌をよむ(詠む・読む)連載。

柴田 葵 1982年、神奈川県生まれ。元銀行員、現在はライター。「NHK短歌」や雑誌ダ・ヴィンチ「短歌ください」、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」への投稿を経て、育児クラスタ短歌サークル「いくらたん」、詩・俳句・短歌同人「Qai(クヮイ)」に参加。第6回現代短歌社賞候補。第2回石井僚一短歌賞次席「ぺらぺらなおでん」。第1回笹井宏之賞大賞「母の愛、僕のラブ」。
■作品
プリキュアになるならわたしはキュアおでん 熱いハートのキュアおでんだよ
(『母の愛、僕のラブ』より)
vol.66
テーマ詠「謎」結果発表
~どんな言葉を歌にするか~

短歌を読む・詠む連載、「あなたとよむ短歌」。今回はテーマ詠「謎」の結果発表です。

「謎」はとらえどころがないから謎なのかもしれません。けれども概念的なテーマであるほど、短歌にするときには、具体的な情景を思い描くほうが詠みやすいこともあります。ぼんやりしたものをぼんやりしたまま掴もうとすると結局ぼんやりしがちです。

今回はさまざまな切り口で「謎」を詠んだ短歌があつまりました。一緒に読んでいきませんか。

後半では投稿者の皆さんの質問に回答しています。作品と合わせて、ぜひ最後までお付きあいください。

それでは、最優秀賞の発表です!


このなかに真犯人がいるとして
君がそうなら僕もそうだよ
(蓬詩のぶさん)

謎解きミステリーの、まだ真犯人がわからない状況。もし「君」が真犯人なら、どんな理由があってもなくても「僕」も共に真犯人だと名乗りでるのでしょう。「君がそう【なら】」というとてもシンプルな繋ぎ方が一片も迷いのない様子を表していて、なんていう純愛だろうと胸がバクバクします。
「君が【そう】なら僕も【そう】だよ」と、真犯人という言葉を後半で使わない点もいいですよね。リズムのよさだけでなく「もし真犯人だったとして君は君である、たいしたことではない」という気持ちが感じられます。


続いて、優秀賞2首です。

靴下のかかと部分が甲へ来て
無視していたら戻っていった
(石川真琴さん)

想像してみてください。似たような経験がありませんか? 靴下のかかとの位置がずれても、すぐに直せないときってありますよね。それがいつのまにか直っていることもあります。その違和感、ムズムズ感。
かかと部分がズレる理由はわかりません。謎ですね。ものすごく日常的な謎です。テーマ詠「謎」と言われて、この地味な日常の出来事に注目するのはすごいことです。
終始淡々とかかと部分の移動のみを説明することで、かかと部分の動きが生き物のようにも感じられてきます。触覚に訴えるめずらしい短歌です。


この雨がどこから来たか知らぬまま
リュックが重くなるのを許す
(星雅さん)

今年の夏は突然の雨も多かったですね。気候変動のせいなのかスコールのように雨を浴びることも増えました。傘をさしてもリュックは意外と濡れるものです。前に抱える余裕があればいいのですが、そうもいかないとき、余裕がないときには「濡れているなあ……」と思いながら歩きつづけないといけません。
「雨」は苦難の象徴とも読めそうです。なにか苦しいとき、その発生源や理由や原因が明確だとは限りません。それでも、まずは背負うものが重くなったことを認めて許すところからスタートするしかないのかもしれません。



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