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【短歌のお悩み回答】理解できない短歌になぜ惹かれる?心に残る理由と読み方を解説

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最後に、投稿者の皆さまから寄せられた質問を見ていきましょう。


わからない短歌を読むと、わからないことが苦しくなります。わからなさを楽しむにはどうすればよいでしょうか。

意味が十分に理解できないのに、なぜか強く心に残る短歌に出会うことがあります。例えば穂村弘さんの【「腋の下をみせるざんす」と迫りつつキャデラック型チュッパチャップス】を初めて読んだときも、内容を理解しきれないまま強い印象だけが残り、しばらく呆然としてしまいました。 単に「わからない」言葉を羅列しただけでは、このような余韻は残らないはずだと思うのですが、この「よくわからないのに心に残る感覚」は、どのようなところから生まれるものなのでしょうか。

「わからない短歌」を読んだときに関する質問がふたつ寄せられました。

短歌には、意味や背景などを正確に伝えられる長さがありません。この「正確な意味を理解している手応えがない」ことが、特に短歌を読みなれていない人には、困惑する原因になる場合がよくあります。

「かんたん短歌」=いつもの言葉づかいでわかりやすく表現する短歌を提唱する歌人・枡野浩一さんの全歌集の表題作に【毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである】という短歌があります。私はこの短歌が好きです。これを普段、短歌を読まない人に読んでもらったところ「わからない」と戸惑っていました。なぜ手紙がくるのか、「あなた」は誰なのか、あなた以外からくるからなんなのか、という感想でした。それぞれの疑問は出て当然です。情報として書いていないからです。想像の余地を楽しめる人もいれば、楽しめない人もいます。楽しみ方のコツをつかむ前の人もいます。

いずれにせよ、短歌は情報伝達として不十分であることを大幅に許容する文芸形式です。読者によって合う・合わないが大きく出ます。また、読者も読者で日々成長したり老いたり変化していくので、いま「わからなく」ても、数年後に「わかる」ケースもあるでしょう。

だから、わからないことを苦しく思う必要はありません。皆が絶賛している短歌を好きになれなくてもまったく構いません。私にもそういう作品はたくさんあります(短歌に限りませんが)。同時に、自分がわからないからといって、他の人にとっても駄作だと決めつける必要もありません。

【「腋の下をみせるざんす」と迫りつつキャデラック型チュッパチャップス】は私も好きな短歌です。全体の状況も意味もわかりませんね。けれども、不思議な切迫感があります。

「脇の下をみせる」ことの嫌な感じ、「ざんす」のレトロなキャラクター感、「迫りつつ」という大きな動き、「キャデラック型チュッパチャップス」のカタカナ飽和感と音の面白さ。口がクチャクチャしますね。全体的に生理的な嫌悪を醸しつつ、さまざまなカルチャーのキメラが追いかけてくるような怖さすらあります。もちろん他の読解の仕方もあるでしょう。

私たちは(基本的に)日本語を使って短歌を詠んでいます。その語彙それぞれには、辞書的な意味だけでなく、「その言葉がどう社会で認識されているか」というイメージも付与されています。読者も辞書的な意味に限らず、自分の内面からその語彙に対するボヤッとした常識やイメージを引っ張りだして読解します。

文章的な意味が通らない短歌であればあるほど、言葉の文化的・社会的背景やイメージを生かしている場合が多いものです。これは必ずしも万人に共通するものでなく、しかも時代と共に変化するので、わかる人もいるし、わからないひともいる。刺さる人もいるし、刺さらない人もいるでしょう。
それは作品の脆弱性であるとか、読者に依存しすぎているとか、批判もあるかもしれません。同時に、短歌という形式が持つ可能性も私は感じます。なお、歌会に参加すると、さまざまな人の読解を聞くことができます。住まいや環境など、なかなか参加するのも難しいかと思いますが、機会があればぜひ参加してみると新鮮な発見があるはずです。


作品や質問のご投稿ありがとうございました。
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発表 2026年5月1日