ヤマモトショウ「創作が進まないのは、『やりたいこと』が明確でないから」 【第8回 創作はいつまで続くのか】


「やりたいこと」が決まれば、作品はすんなりできる!?
こういった所謂「勉強」もしながら、ふぇのたすとしての楽曲制作を進めたのだが、やってみて自分でも驚くくらいハイペースで曲をつくることができた。前述のようにDTM自体をこのタイミングで本格的にはじめたこともあって、それの操作などに時間がかかったり、アレンジに不慣れなことなどはあったが、それをふまえてもかなりの曲数を短い時間に作ったと思う。
たとえば、ふぇのたすの楽曲の中でのちに代表曲となる「かわいいだけじゃダメみたい」と「おばけになっても」という二曲は、同じ日につくった。
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朝起きてすぐに作り始め、午前中には「かわいいだけじゃダメみたい」ができあがった。昼頃にボーカルのみこと別のことを電話で話したらその日は怪我をしたか何かでバイトが急遽休みになって暇だ、ということだったので、今から曲を作るから夕方くらいにプリプロ(歌を仮にいれてみること)をやってみようということになったのだ。
そこからお昼ご飯を食べながら「おばけになっても」をつくった。夕方みこに会うタイミングで二曲できていたので、二つともレコーディングしてみて、すぐにデモにしてスタッフにも送った。
「かわいいだけじゃダメみたい」はのちに「おんなのこきらい」という映画のメインテーマになり、ふぇのたすを多くの人が知ってくれるきっかけになり、「おばけになっても」は解散後にTikTokで所謂「バズ」が起こった楽曲だ。おそらく「スピーカーボーイ」以外で「ふぇのたす」っぽさを表す曲として多くの人があげる二曲がこの二つなのではないかと思う。
そういった楽曲が、1日で、しかもある意味では勢いで出来てしまったということは実は自分の作家性においても非常に重要な出来事だったように思う。
要するに、やりたいことややるべきことが決まっているときに、それをアウトプットすることそのものには時間はそれほど必要ないということである。この段階で悩んで時間を要するということは、そもそもの「やりたいこと」の部分に問題がある可能性が高い。
この時で言えば、「みこの声を活かす」というところにフォーカスできていなければ、「もっとこういう曲がいいかも」というような根本的な悩みに立ち返ることになってしまったかもしれない。
プロとして曲をつくることが「創作」と言えるのかどうか、明確に答えることは難しいが、少なくとも自分にとっては、このようにある種の「仕事」としてつくるというスタイルこそが結局、クオリティやスピードにつながり、それがまた次の作品へと良い意味で接続していくことがバンドとしてプロになっていくこの時期にわかってきたといえる。
そして仕事というのは人との繋がりのことでもある。一人でつくるだけではなくて、仲間とつくっていくということもある種「プロフェッショナルな創作」といえるかもしれない。お互いに責任を持つという態度こそが、自分にとっては作品のクオリティに直結しているような感覚を持てるようになったときから、今でも続く自分の創作スタイルが確立してきたといえるかもしれない。
(次回は「それでもまだ自分の中に残るアマチュアとしての創作意識について」。)
| 次回の更新は5月6日(水)を予定。お楽しみに! |
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