AI小説の境界線。主要文学賞の応募要項から読み解く「オリジナル作品」の真意│規定なし15賞【前編】
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Part1では、AI利用について明確な規定を打ち出している18賞のスタンスを「全文利用OK/補助利用OK/全面禁止」の3タイプに分けて紹介しました。
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では、規定が明示されていない15賞はどう扱えばいいのでしょうか。
「規定がない=AIを自由に使える」とは限りません。応募要項にある「未発表オリジナル作品」のオリジナルとは何か。そこには出版社や主催者の暗黙の前提が含まれているかもしれません。
15賞をジャンル別に見ていきましょう。
純文学・一般文芸系【5選】
純文学系の新人賞ほど、AI規定の明文化が進んでいない傾向にあります。これは「文学とは何か」「創作とはどこからどこまでか」という根本的な問いに関わるため、安易にルール化できない事情があるのかもしれません。
太宰治賞(筑摩書房・三鷹市)
※第42回(2025年12月10日締切)応募要項時点
筑摩書房と三鷹市が共催する純文学系新人賞です。応募要項に、AI利用に関する明示的な記載はありませんでした。応募方法は郵送のみで、「自作未発表」が唯一の制限となっています。
文學界新人賞(文藝春秋)
※第132回(2026年9月30日締切)応募要項時点
100年を超える歴史を持つ文藝春秋系列の老舗新人賞です。応募要項とFAQまで確認しましたが、AI利用についての明確な規定はありませんでした。なお、FAQには「剽窃を避けるため参考文献や引用文献については明確に示すこと」との記述があり、創作の真正性は重視されている姿勢が読み取れます。文藝春秋系列では松本清張賞が「補助利用OK」を打ち出しています。
すばる文学賞(集英社)
※第51回(2027年3月31日締切)応募要項時点
集英社の純文学系新人賞で、受賞作は文芸誌「すばる」に掲載されます。応募要項にはAI利用に関する記載がありません。同じ集英社の小説すばる新人賞は「補助利用OK・申告制」、集英社みらい文庫大賞は「全面禁止」と賞ごとに方針が分かれており、すばる文学賞も今後何らかのスタンスを示す可能性がありそうです。
新潮新人賞(新潮社)
※第59回(2027年3月31日締切)応募要項時点
新潮社が主催する純文学系新人賞です。応募要項にAI利用に関する記載はありません。新潮社は調査した文学賞すべて(新潮ミステリー大賞、日本ファンタジーノベル大賞、R-18文学賞、三島由紀夫賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞)で明記をしていない、特徴的な出版社といえます。
女による女のためのR-18文学賞(新潮社)
※第25回(2025年10月27日締切)応募要項時点
新潮社の独自路線として、性自認が女性の応募者に限定したエンタテインメント小説の新人賞です。テーマは「女性ならではの感性で描く」とされ、選考委員も女性が中心。応募要項にAI利用についての記載はありません。
ミステリー・ホラー系【4選】
ミステリー界はAI規定の整備が比較的進んでいる印象を受けます。18賞のうち4賞(このミス、江戸川乱歩、松本清張、横溝正史)が補助利用OKを明文化しています。ですが以下4賞ではまだ明記されていません。
日本ミステリー文学大賞新人賞(光文文化財団)
※第30回(2026年4月10日締切)応募要項時点
光文文化財団が主催する本格ミステリー賞です。選考委員は月村了衛・中山七里・葉真中顕・湊かなえの4名。賞金500万円という規模感ですが、応募要項にAI利用についての記載はありません。同財団は他に文学賞を運営しておらず、出版社系列からの推測も難しい独立系の賞です。
新潮ミステリー大賞(新潮社)
※第13回(2026年3月31日締切)応募要項時点
新潮社の本格ミステリー新人賞です。「自作未発表」という基本要件以外、AI利用に関する規定の明示はありません。新潮社の他の賞でも確認した範囲ではAI利用に関する記載は見当たりませんでしたが、本賞についても同様です。
小説推理新人賞(双葉社)
※第48回(2025年11月30日締切)応募要項時点
双葉社のミステリー系新人賞です。応募資格は新人に限られ、過去に出版社からの依頼で小説を発表したことがある人は応募不可。AI利用に関する記載は応募要項に見当たりません。
ジャンプホラー小説大賞(集英社)
※第11回(2026年5月6日締切)応募要項時点
集英社のJUMP j BOOKSが主催するホラー小説賞です。プロ・アマ問わず応募が可能。応募要項にAI利用についての記載はありません。集英社グループは賞によってAIスタンスが分かれているため、本賞の方針を推測しにくい状況といえます。