次世代に語り継ぐ。災害から命を守るために―「防災100年ものがたり(絵本の原案)募集」
災害文化を身につけるための基本となる防災教育。その手法となる防災絵本の創作をめざし、防災100年えほんプロジェクト実行委員会が原案を募集しています。締切は2023年1月17日。入選作品はWEBサイトで公開され、賞金5万円が贈られます。さらにコンペで選ばれた作品は絵本クリエイターにより絵本化。世界へ向けて、防災意識を高める絵本作りに貢献しましょう。
先人の知恵
『稲むらの火』という物語を知っていますか? 今から約170年前に発生した安政南海地震により、津波に襲われた和歌山県広川町。その際の実話をもとにした作品です。
地震発生後、高台にいて津波の来襲に気づいた主人公・五兵衛。祭りの準備に心奪われている村人たちに危険を知らせるため、稲の束(稲むら)に火をつけます。村人たちは火事だと思い、消火のために高台に集まったことによって難を逃れることができました。この話に感動した小泉八雲が物語化したのをきっかけに国内外で広まり、今でも防災教材として注目されています。
絵本のチカラ
この『稲むらの火』のように、100年を超えて伝えられる防災の物語を世界に発信する「防災100年えほんプロジェクト」。絵本のチカラを借りて、子どもから大人まで防災の知恵を知り、命を守る行動を身につけるためのプロジェクトです。特に、豊かな感性を育む幼児期に大人が読み聞かせることで、無意識に身につき、大人になっても忘れません。災害に遭遇しても負けない、そんな災害文化を広める絵本づくりをめざしています。
本公募の作品から絵本ができるまでのプロセスは次のとおり。
① 防災絵本の原案を募集
② 入選作品のなかから、絵本クリエイター自身が絵本化したい作品を選び、絵本プランを作成し、プレゼンテーション
③ コンペにより選ばれた作品を絵本化
④ 入選作品、絵本化された作品はWEBサイトで公開され、さらに多言語翻訳し世界に発信
次の先人は私たち
物語の文字数は2000字が上限ですが、短くてもよいそうです。担当者の方からのコメントをご紹介します。
「フィクション、ノンフィクションを問いません。書き方も、短編小説的なもの、随筆的なもの、詩の形態、シナリオ的なものなど、スタイルは自由。肝心なポイントは、防災の視点から100年先の世代(自分よりも未来の世代)にまで、伝えるべき大切なことは何か、というテーマを捉えていただくことと考えています」
阪神淡路大震災から28年、東日本大震災から12年。今も、各地でさまざまな自然災害が起きています。この困難に立ち向かうために必要なのは、先人の知恵から学ぶことでしょう。そしてこれからは、私たちが先人として次世代にこの経験を伝えなければなりません。次の100年へ向けて、それぞれの知恵とメッセージを絵本に込めて送り届けてください。
さんたろう
フリーランスの図書館司書&ライター。旅が好き。地方発の公募情報は、旅ゴコロをくすぐる。
出典:https://bosai100nen-ehon.org/
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