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57577に若さを込めて! 学生にもおすすめ「短歌」の世界

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川柳・俳句・短歌・詩
短歌
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短歌ってご存じですか? では、俳句との違いってわかりますか?

うーん、と悩んでしまう方も多いはずです。

「世界一短い詩」といわれる俳句と混同されがちな短歌。俳句は575という短さに季語を入れる形式が基本ですが、短歌は57577の31音。季語は不要です。

学生の皆さんにとっては、国語で勉強しなければならないものであったり、高齢者の趣味というイメージがあったりするかもしれません。けれども、実は学生の皆さんにこそ、短歌をおすすめしたい理由があるんです!

テレビに、映画に、あなたのそばに

Twitterを使っている方は「短歌」や「#短歌」「#tanka」で検索してみてください。毎日、たくさんの人が自作の短歌をツイートしています。

Twitterではさまざまな歌人の活躍も見ることができます。たとえば、季刊誌「公募ガイド」のインタビューにも登場した歌人・木下龍也さんの短歌は、Twitterでも多くの人の共感を呼び、シェアされてきました。

飛び上がり自殺をきっとするだろう人に翼を与えたならば

ハンカチを落としましたよああこれは僕が鬼だということですか

(木下龍也『つむじ風ここにあります』書肆侃侃房)

木下さんは2022年10月2日、毎日放送「情熱大陸」に出演。刊行された第3歌集『オールアラウンドユー』や、短歌の指南書『天才による凡人のための短歌教室』は、ファッション誌や文芸誌、テレビなど多数の媒体で取り上げられ、多くの人が手にしています。

また、東直子さんの歌集『春原さんのリコーダー』は、『春原さんのうた』として映画化され、第32回マルセイユ国際映画祭で3冠を受賞。工藤吉生さんの歌集『世界で一番すばらしい俺』は剛力彩芽さん主演で同名の映画になっています。

表題作となっている短歌はこちらです。

転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー

(東直子『春原さんのリコーダー』本阿弥書店) 

膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番すばらしい俺

(工藤吉生『世界で一番すばらしい俺』短歌研究社)

現代短歌はルールも少なく、自由度が高い点も「書いてみよう」と思う人が増えている理由かもしれません。57577という31音のリズムをベースにすれば、話し言葉でも、カタカナや英単語を使ってもOK! このように、SNSやテレビ、映画、雑誌など、意外に身近なところまで短歌の波は到来しています。

学生時代は短歌の始めどき!

短歌を詠むにあたって大切なのは、感受性です。環境によって感受性は変化していくもの。学生の今でないと詠めない短歌があります。始めるなら今! しかも、学生であることで応募しやすかったり、受賞の可能性が高まったりする短歌の公募も多くあります。


・学生のみ応募可能

第28回 「前田純孝賞」学生短歌コンクール(2022年11月30日締切)

・高校生は応募無料

西行賞 短歌募集(2022年11月18日締切)

・ジュニア部門(小〜高校生)あり

正倉院展短歌・俳句コンクール(2022年11月18日締切)


最近ではオンライン歌会(短歌を発表し、感想を言い合うなどして研鑽する場)も盛んです。全国各地で開催されている文学作品の展示即売会・文学フリマでは、短歌関連のブースが増加中とのこと。

短歌を作り慣れてきたら、参加してみてはいかがでしょうか。同じような感性を持つ友人ができるチャンスかもしれません。※オンライン上で知り合った人と実際に会う場合は慎重に!

国語の授業での学習項目である短歌は、学校に活動内容を報告しやすいのも、ちょっとうれしいポイントですね。もし公募で受賞した場合、内申点などのUPにもつながりそうです。

「受賞者続出の高校」が新潟県にある

取り組みやすく、ブームにもなりつつある短歌ですが、その歴史は万葉集までさかのぼることができます。こうした伝統を強く感じることができる行事が、宮内庁が主催する「歌会始の儀」。新年の1月に開かれ、天皇皇后両陛下の前で、一般募集から選ばれた詠進歌が読みあげられます。

この「歌会始の儀」は、最も注目を集める短歌の公募といっても過言ではありません。その「歌会始の儀」の詠進歌に、今年で3年連続、累計7人もの入選者を輩出している高校が新潟にありました。東京学館新潟高校です。

(東京学館新潟高校 外観)

同校の田村裕先生によると、学校での短歌指導には特別な内容はなく、生徒の学ぶ様子から指導内容を年ごとに改善し、伝え続けているとのこと。コロナ禍の今は、短歌創作の動画授業を配信しているそうです。

(運動部や文化部、さまざまな活動のなかに短歌での活躍も)

「歌会始の儀」だけでなく、「東洋大学現代学生百人一首」や「万葉の里あなたを思う恋の歌」など、毎年数々の短歌公募で成果をだしている同校の生徒たち。高校生でも、すでにこのように活躍している「歌人」はたくさんいます!

短歌は心の支えになるかも

通学の電車やバスのなかや、友達を待っている時間。または、なんとなく一人で過ごす少し孤独な日。スマホのメモに思いついたフレーズを書きとめてみましょう。それを57577のリズムに整えれば、短歌のできあがりです。

スキマ時間に気軽に創作できる短歌は、自分の迷いや喜び、気づきを書きとめておくのにピッタリ。言葉にすることで日々のモヤモヤが少しすっきりするかもしません。

もちろん、そういった言葉は外に出さなくてもいいものです。けれども、創作の面白さに気づいたり、作品を誰かと共有したい気持ちがでてきたりしたら……。SNSや公募など、外部に発信しやすいのも短歌の魅力かもしれません。

「ふるえてる指で言葉をつむぐ朝わたしの世界が少し広がる」

あなたも31音で、世界を広げてみませんか?

芦田みどり

公募情報ライター。最近は各地を盛り上げるご当地公募から目が離せない。好物はネギトロ。公募ガイド公式Instagramでも執筆中。