絶景で、ととのう「椎葉村秘境サウナデザインコンテスト」
宮崎県・椎葉村(しいばそん)がサウナデザインを募集しています。テーマは「秘境と絶景~ととのう空間~」。椎葉村の木材を使用し、移動可能であることなどが条件です。締切は2022年10月10日。優秀賞には賞金15万円が贈られ、実際に現地で制作設置されます。
秘境でリモート
岐阜県白川郷、徳島県祖谷とともに、日本三大秘境といわれている、宮崎県椎葉村。平家の落人伝説が残る山深い地で、柳田国男がフィールドワークを行ったことから民俗学発祥の地ともよばれています。最寄り駅は車で約1時間40分の日向市駅。都市部から離れているので、他にはない最高の秘境感を味わうことができます。
コロナ禍により、地方移住が加速している昨今。椎葉村への移住を考える人も増えているそうで、移住仲介サイト「SMOUT(スマウト)」では「ネット上で話題の地域ランキング」全国1位に輝いています。通信環境も整備されているため、豊かな自然を満喫しながらのリモートワークにうってつけのロケーション。
移住者情報公式インスタグラムや公式noteも充実していて、明日にでも行きたくなる、魅惑の情報満載です。
96%で、100%ととのう
椎葉村がある椎葉山地域は、高千穂郷とともに世界農業遺産にも指定されています。農林業や木材生産など、高地を活かした農業が特徴。特に杉の埋蔵量は日本一とも言われ、なんと村の96%が森林! マイナスイオンにつつまれて、身も心も穏やかにととのいそうです。
一方、この豊富な地域材の大半が村内で活用されていない、という悩ましい現状もあるとのこと。そこで、椎葉村ならではの地域材を活用して地域を盛り上げようと、さまざまな取り組みがされています。
2020年には、村の交流拠点施設「Katerie」内に、木材を3次元に加工し切り出すことができる「ShopBot」を導入。子どもたちも木工に親しめる場が実現しました。今回のサウナデザイン募集もそのひとつ。デジタルファブリケーションを用いて地域材の可能性を広げることをめざしています。
サウナの今
東京五輪が開催された1960年代、スーパー銭湯が全国各地に登場した1990年代に続いて始まった第3次サウナブーム。コロナ禍の現在でもその人気は衰えません。密を避ける工夫として、個室サウナも続々オープン。サウナといえば、ジムや共同浴場で利用する人も多いでしょう。窓がなく、テレビに向かって並んで座る、というイメージですね。
本公募がめざす、絶景を望むサウナは、果たして存在するのでしょうか。国内外サウナ捜索ツアーをしたいところですが、コロナ禍での現地取材は困難なため、インターネットで調べてみました。
「絶景 サウナ」で検索してみると、オーシャンビューのサウナ、リバービューサウナなど意外と多いものです。山をバックにテントサウナ、なんていうのもありました。そして、さすが本場フィンランド。ヘルシンキの海や街を一望できるゴンドラサウナがあるそうです。
椎葉サウナでサステナブル
さて、そんなサウナ激戦時代に満を持して登場する、椎葉サウナ。他にはない、唯一無二のサウナが期待されます。ロケーションも確認しながら、椎葉村の特徴を活かした設計をしたいところ。こちらは、実際にサウナが設置される予定地です。
まさに日本の原風景! 心地よい風、鳥のさえずり、虫の声……写真からも、香りや音が伝わってくるようです。こんな素敵な場所にサウナができたら、世界中から注目を集めそうですね。ほかにも設置候補地が数か所あり、主催者WEBサイトで確認できます。
注目は、なんといっても自慢の木材。地域材の可能性を広げるデザインを期待しているとのことなので、特産の杉の木などをふんだんに使いたいところです。森の中で、さらにサウナの木の香につつまれる……想像しただけで、癒されます。
デザインが採用されると、「ShopBot」を使用して制作されます。パソコンに接続するだけで、個人でも自由にものづくりができるデジタルファブリケーション。設計の経験がない人も、チャレンジしやすいのではないでしょうか。加工可能なサイズなど「ShopBot」の詳細は、WEBサイトでしっかり確認してから、アイデアを具体化しましょう。サウナ定員は2~4名。大型の重機ではなく人力で組み立てられることも条件なので、コンパクトで移動可能な設計を。
この絶景をバックに「ととのいたい!」と思ったあなた。理想のサウナを実現するチャンスです。ぜひ、椎葉村へ熱い思いを届けてください。
さんたろう
フリーランスの図書館司書&ライター。旅が好き。地方発の公募情報は、旅ゴコロをくすぐる。
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