2部門に生まれ変わって募集! 「第31回 やまなし文学賞」
やまなし文学賞実行委員会が主催する「第31回 やまなし文学賞」では、一般部門と青少年部門で、未発表の小説を募集しています。締切は2022年11月30日。やまなし文学賞(一般部門)には賞金100万円、やまなし文学賞青春賞(青少年部門)には図書カード10万円分が贈られます。あなたの作品で、山梨県文学の世界を盛り上げよう!
県内を対象とした青少年部門を新設
山梨県にゆかりの深い樋口一葉の生誕120年を記念して、1992年4月に制定されたこちらのコンテスト。山梨県の文学振興をはかり、日本の文化発展の一助とすることを目的としています。今年度は内容を改訂し、一般部門に加えて青少年部門が新設されました。
一般部門は住所・年齢を問わず誰でも応募が可能。応募枚数は400字詰め原稿用紙30~80枚です。青少年部門は山梨県出身・在住・在学・在勤の25歳以下の方が対象で、400字詰め原稿用紙10~30枚となります。
主催者の方によると、青少年部門を設けたのは「県内の若い世代の方々の、小説創作への意欲を後押しするため」とのこと。荒削りでも、若い可能性をもった作品を期待されているそうです。学生のみなさんも、この機会に応募してみてはいかがですか?
受賞作品は新聞に掲載
小説部門に216編の作品が集まった前回。やまなし文学賞に「夏影は残る」、同佳作に「この世の果て」と「誤配」が選ばれました。選評の一部をご紹介します。
やまなし文学賞 「夏影は残る」語り手の「てんちゃん」は16歳の通信高校生。あるとき、草木に覆われた「けもの道」で正体不明のものと出会う。彼女と同居する祖母は眠っているあいだに正体不明となって歩きまわり、手にふれるものを容赦なくなぎ払う。この祖母との「かみあわない」会話と、それでいて親和性を示すやりとりが面白い。(長野まゆみ氏)
最も文章に生彩が感じられた魅力ある作品である。思春期に確かに遭遇していた〈ソレ〉の痕跡を我が身の裡にも探る思いとなった。(佐伯一麦氏)
同 佳作 「この世の果て」
半生をニュータウンで暮らした主人公が、認知症となった妻をつれてふたたび故郷へもどる話。個人主義に満足していたはずの人が共同体に安らぎを感じる。現代のテーマだと思う。(長野まゆみ氏)
同 佳作 「誤配」
〈年賀をこする〉といった専門用語を交えて描かれる郵便業務の内情が興味深く、楽しく読める作品だった。事の顛末が手紙によって明らかになるのもよかった。(佐伯一麦氏)
(出典:山梨県立文学館「第30回小説部門 選評」全文はこちら
https://www.bungakukan.pref.yamanashi.jp/prize/22%E5%B0%8F%E8%AA%AC.pdf)
テーマが自由なため、設定や主人公は多様ですが、会話や現代性、専門用語とそれぞれの作品に光る特徴があります。今回求める作品について主催者の方に伺ったところ、一般部門は「様々なテーマ、様々な表現方法に挑戦した作品」を期待されているとのこと。ご紹介した作品のように、自分ならではのテーマや文体、構成を生かして書いてみるといいかもしれませんね。
受賞作品は山梨日日新聞紙上に掲載され、「夏影は残る」と「この世の果て」は連載が終了。現在は「誤配」が連載中です。「夏影は残る」は、2022年6月30日に単行本として刊行されました。読んだら受賞のヒントが得られるかも。みなさんぜひ手に取ってみてくださいね。
香山衣美
ライター。公募の入選回数は400回以上。得意分野は川柳や短いエッセイだが、最近はアートや料理公募でも入選している。「公募ライター香山が挑戦!」企画も連載中。
出典:https://www.bungakukan.pref.yamanashi.jp/prize/
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