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せきしろの自由律俳句 第52回「好奇心」結果発表

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川柳・俳句・短歌・詩
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せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第52回 課題:好奇心

 

せきしろの一句

飛び越えられるかあの柵昭和45年生まれ

 

最優秀賞

いいえとおうか一瞬迷う

(新潟県 胡桃 30歳)

話は順調に進み、何も問題はなく、あとは自分が同意するだけ。相手もそう思っている。そんな時「ここで『いいえ』と言ったらどうなるんだろう?」という好奇心が一瞬湧き上がる。少なくとも相手は驚くであろう。でも言わない方が無難だ。結局「いいえ」と言ったのかどうかはわからないが、一瞬の緊張感がたまらない句である。

 

 

優秀賞

知らない芽にも水を

(岡山県 ムーミン姉 43歳)

プランターや花壇の花に水をあげる時に、ふと知らない芽を見つける時がある。それは雑草かもしれない。いや、たぶんそうであろう。でももしかしたら今まで見たことのない珍しい植物の芽の可能性はゼロではない。そんな好奇心が芽生えてしまう。そうなるとその好奇心に水を与えるしかないのだ。

 

 

蛇をでた手を洗う

(大阪府 古賀 36歳)

私は蛇に触れたことがないのでいったいどんな感触なのかはわからないが、そのあと手を洗ってしまう気持ちはわかる。好奇心から触れてしまったもののすぐ手を洗いたくなることは多々あることで、すぐに洗えない場合はしばし我慢するしかないのだが、手にはずっと違和感が残り続ける。この句からそんなことを思い出した。

 

 

佳作

「に注意」だけ消えずに残っている
(京都府 松本俊彦 56歳)

蟻の巣を覗く小さな背中
(神奈川県 ねこはらえみ 40歳)

新雪を突き進む黒猫
(北海道 エリンギ 34歳)

自転車で県境を目指す
(福島県 きりんのき 19歳)

昨日の好奇心を忘れた
(東京都 梵庸子 45歳)

泣く子が見上げたヘリコプター
(埼玉県 夕顔 42歳)

お守りの中を薄目で覗く
(東京都 とと 18歳)

トランシーバーと書かれた箱
(和歌山県 中村まふゆ 48歳)

パレットに色を混ぜていく
(京都府 NCハマー 44歳)

STAFF ONLYのドアが少し開いている
(東京都 清水利昭 50歳)

あれも燻製にできまいか
(東京都 身長6m 25歳)

ママにはなれなかった五歳の口紅
(青森県 しろとも 46歳)

ホームセンターでチェーンソーの刃に触れる
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)

ふいに追ってみれば海
(大阪府 折葉私 21歳)

日陰の重たい石をどかす
(神奈川県 哲ロマ 41歳)

岩をひっくり返して見る世界
(神奈川県 未瑛 36歳)

通り過ぎつつ見る
(千葉県 xissa 55歳)

家の引き出し全部開ける
(兵庫県 金戸環希 18歳)

二人が付き合ってるのか聞ける人登場
(東京都 しまこう 34歳)

静止系ストリートパフォーマーの到着時
(大阪府 棒きれ 28歳)

 

今月の総評

『「に注意」だけ消えずに残っている』はトンビか熊か変質者か飛び出す子どもか。もしも「天狗」だったらロマンがあるが、ただどう注意すれば良いのかわからない。『自転車で県境を目指す』は子どもの頃を思い出させる。あの頃、好奇心の赴くままどこかへ行こうとした時は自転車しかなかった。『トランシーバーと書かれた箱』は実に好奇心を刺激してくる箱である。手書きで書かれていたらさらに気になる。書かれている言葉は「水中眼鏡」でも「ドアストッパー」でも「シャワーヘッド」でも気になるが、「冬物」と書かれていたらそれは引っ越しの段ボールだ。『ホームセンターでチェーンソーの刃に触れる』もまた好奇心である。ホームセンターは好奇心の塊と言っても過言ではなく、ドライバーがたくさん売られているだけでワクワクするのである。『日陰の重たい石をどかす』『岩をひっくり返して見る世界』はどちらも石の位置をずらす俳句である。石の下はどうなっているのか、そんな好奇心も子どもの頃は持っていた。『通り過ぎつつ見る』は好奇心に負けない大人のマナーである。事故現場や揉め事があったとしても、立ち止まって見ずに歩きながらさり気なく見る。これが大人の振舞いなのだ。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=5000円(商品券)

優秀賞2点=2000円(商品券)

佳作10点=記念品

公募ポイント

mottomo会員の方は、ログイン後WEBから応募するだけで自動的にポイントがたまります。

応募者全員=5pt追加

【最優秀賞】 さらに50pt追加

【優秀賞】 さらに30pt追加

【佳作】 さらに10pt追加

※応募者全員ポイントの付与は各回ひとり1回までです。

※ポイント付与は結果発表の時期に行われます。

募集中のお題

第54回「青」

応募期間 6月25日~7月20日

 

第55回「食事」

応募期間 7月25日~8月20日

発表

第54回 9月9日 WEB上

第55回 10月9日 WEB上