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「小説の取扱説明書」~その57 本当の推敲 テーマの推敲

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作文・エッセイ
小説の取説

公募ガイドのキャラクター・ヨルモが小説の書き方やコツをアドバイスします。ショートショートから長編小説まで、小説の執筆に必要な情報が満載の連載企画です。

第57回のテーマは、「本当の推敲 テーマの推敲」です。

最初に書き上がったあとからが本番

推敲というと、最後にざっと素読みすることだと思っている人も多いのではないでしょうか。

それは推敲の最後の最後、確認のような作業ですね。

推敲には少なくとも三度の工程があり、それは第一稿が書き上がったときから始まります。

第一稿が書き上がったときは、「終わった!」と喜んで脱力してしまいそうですが、実はこの時点ではまだ道半ばです。

第一工程は、全体を見る推敲です。

小説をひとつの建築物だと考えてみましょう。

基礎工事、棟上げ、配管工事が済み、内装も終わった時点で、

「柱が一本足りず、このままでは倒壊します」なんて言われたら、それまでにやってきた細々とした作業がむだになりますよね。

あとで大きな改修にならないように、大局を見る。

これが第一工程の目的です。

テーマについてチェックする

第一工程でのチェック項目は、三つあります。

一つ目は、テーマです。

作品を読み返してみて自問してみましょう。

「今作のテーマって、なんだったっけ」

すると、「テーマがわかりにくい」、「読後にテーマが立ち上がってこない」、「欲張りすぎてテーマが二つある気がする。どっちかをメインにしないと」のように反省点が浮かんでくると思います。

ロジックを確認する

二つ目は、ロジックです。

「主人公は記憶喪失」と設定したが、すべて忘れ去っているのではなく、ある一年間の記憶だけがぽっかりなくなっているとした。

――でも、これって医学的にあり得るんだろうか。

記憶喪失に詳しい人が読んで、「こんなの嘘だよ」と言われたくない。

そう思ったら、一応関連書籍などで裏をとったほうがいいですね。

でないと、設定が根本から崩れます。

ただ、現実にはあり得ないけど、納得して読めるような工夫がしてあるとか、本当にありそうなリアリティーがあるというのなら問題ありません。

ロジックに近いですが、整合性や動機などもチェックします。

「前半では両親と死別していたが、後半、普通に母親が登場している」とか。耳に障害のある主人公が「あの音は何?」というセリフを言っているとか。

いろいろ修正を重ねているうちに、前の設定の文章が残ってしまっていたりするものです。

また、なんの動機もなく対立したり協力したりなども、不自然だと思えば動機づけとなった場面などを挿入するなどします。

バランスを整える

三つ目は、バランスです。

全体を「起承転結」でも、「前半・中盤・後半」でもかまいませんが、いくつかのパートに分けてみて、

「起」が重いなあ、もっと早く本題に入ったほうがいいか。

「結」がくどいなあ、スパッと終わりたい。

「転」があっさりしすぎかなあ、ためが欲しい。

のようにバランスを考えていきます。

バランスについては、何かを足すより、削ることに専念するほうがはるかにうまくいきます。

次回は第二工程を解説します。

(ヨルモ)

 

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ヨルモって何者?

公募ガイドのキャラクターの黒ヤギくん。公募に応募していることを内緒にしている隠れ公募ファン。幼馴染に白ヤギのヒルモくんがいます。「小説の取扱書」を執筆しているのは、ヨルモのお父さんの先代ヨルモ。