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「小説の取扱説明書」~その38 プロットに対する考え方~

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作文・エッセイ
小説の取説

 

公募ガイドのキャラクター・ヨルモが小説の書き方やコツをアドバイスします。ショートショートから長編小説まで、小説の執筆に必要な情報が満載の連載企画です。

第38回のテーマは、「プロットに対する考え方」です。

慣れた人は即興で書く

書き慣れない人はプロットを作ってみるといいですし、ストーリーメイクの練習にもなります。しかし、書き慣れている人は、プロットはざっくりとしたものにとどめ、あとは半ば即興で書いていくほうがうまくいきます(ただし、本格推理は別)。

プロットについて、スティーヴン・キングはこう書いています。

 プロットに重きを置かない理由はふたつある。第一に、そもそも人生に筋書きなどないから。どんなに合理的な予防措置を講じても、どんなに周到な計画を立てても、そうは問屋がおろしてくれない。第二に、プロットを練るのと、ストーリーが自然に生まれでるのは、相矛盾することだから。この点はよくよく念を押しておかなければならない。ストーリーは自然にできていくというのが私の基本的な考えだ。作家がしなければならないのは、ストーリーに成長の場を与え、それを文字にすることなのである。
(スティーヴン・キング『書くことについて』)

ストーリーは成長する

「ストーリーに成長の場を与える」というのは、あまり細かく決めすぎず、決めても柔軟に変更する幅を持たせるということです。

よくあるのは、もう書くことが決まっていて、どんな変更も受け付けないという姿勢です。これは実体験をベースに書くときによくあります。

でも、実体験だって、小説なんだから変えていい。実際、実話を書くはずだったのが、結果的に残ったのは実体験のうちの1割もなかったという例は無数にあります。私小説と言っても、実は創作的な嘘は相当含まれているものなんですね。

なぜそうなるかというと、書いているうちに、物語的な欠陥に気づくからだと思います。

100枚の予定で書き始めて、予定どおり終わったつもりが、完結させてから気づく。主人公の問題は全く解決していない。この100枚は長編の第1章に過ぎなかった……とか。

当初の計画は無駄になりましたが、それはそれでもっけの幸いと言うべきでしょう。本来の物語に形を掘り当てたのですから。

最初のプロットに固執すると、この僥倖にはあずかれません。

(ヨルモ)

 

ヨルモって何者?

公募ガイドのキャラクターの黒ヤギくん。公募に応募していることを内緒にしている隠れ公募ファン。幼馴染に白ヤギのヒルモくんがいます。「小説の取扱書」を執筆しているのは、ヨルモのお父さんの先代ヨルモ。