『シルバー川柳10』
公募ファンにとっては定番と言えるコンテストではないでしょうか。
1万点前後の投稿の中から厳選された作品が1冊の本となって出版されるので、毎回新作を楽しみにしているのですが、なんと今回掲載していただけたのです!
発売された『シルバー川柳10』には、第20回の入選作20句を含む88句が掲載されています。
入選発表のときは20句の中に選ばれなかったので掲載を諦めていたのですが、後日、本に掲載してよいかという承諾書が届いて驚きました。
シルバー川柳は毎年「高齢社会、高齢者の日々の生活等」というテーマで川柳を募集しています。
それはつまり「老い」について考えることだと思います。
この公募に応募し始めたころは、30代の私が投稿していいのか迷ったことがありました。
しかし、実際の投稿者の年齢層は幅広く、今回も11歳から106歳の方から作品が寄せられたそうです。
内容は自分の周りにいるご年配の方のことや、長年寄り添ったパートナーのこと。
一番多く見られるのは自虐ネタで、くすっと笑ってしまう作品集となっています。
時事ネタも多く、毎年同じテーマにも関わらず、毎回新鮮な気持ちで読むことができます。
老いというものに対して、若い頃はどちらかといえばプラスのイメージを持っていませんでした。
しかし、作品を読んでいくうちに徐々に考え方が楽観的になってきました。
漠然とした不安を伴う将来に、少し明るさと癒しをもたらしてくれるのです。
特に自虐ネタを読むと、失敗や悩みを抱えながらも、笑いに変えて生きていくことができるのだと勇気をもらえます。
また、コミカルな挿絵が句の良さをさらに引き立て、視覚的にも楽しい作りとなっています。
「シルバー」というテーマは、今の自分が詠むものと10年後、20年後に詠むものでは、おそらくイメージも体験も変わっているはずです。
考え方というのは自然と変わりゆくものだと思いますが、書き記しておくことで自分の変化や成長を鮮明に残しておくことができます。
このように長く同じテーマと向き合うというのも、面白いのではないでしょうか。