ヨルモの「小説の取扱説明書」~その14 二人称小説~
公募ガイドのキャラクター・ヨルモが小説の書き方やコツをアドバイスします。ショートショートから長編小説まで、小説の執筆に必要な情報が満載の連載企画です。
さて、第14回目のテーマは、「二人称小説」についてです。
語りかけられたような錯覚
1980年代に、『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』(ジェイ・マキナニー)という小説が話題となりました。
サリンジャーの再来のように言われていた記憶がありますが、この小説のユニークなところは、二人称で書かれていることです。
〈あなたはそこにいない。〉
みたいな書き方をされると、ちょっとドキッとしませんか。
「あなた」って誰? 私のこと? なんて思ってしまう。
作者が読者に直接語りかけているような錯覚を覚えますね。
二人称で小説を書くなんて、これは世界発では? と思いましたが、実はそうではありませんでした。日本では、都筑道夫先生が、ジェイ・マキナニーよりずっと先に『やぶにらみの時計』を書いていました。
ちなみに都筑道夫先生、月刊公募ガイドでも連載していただいていたことがあります。
閑話休題。そんなに効果のある書き方ならもっと実例があってもいいと思いますよね。
「二人称」は、短編におすすめ
でも、二人称小説は、物語の語り手が主人公のことを「あなたは」と言うだけで、長く書いていると、三人称とほとんど同じになってしまいます。
読者もつい長年の癖で、三人称のつもりで読んでしまったりします。
そこにときどき思い出したように、
〈あなたはドアを開けた。〉
のように出てきて、ああ、二人称小説だったよね、と思い出すということを繰り返します。
そのうち、煩わしくなって、「もう三人称で書けばいいじゃん」と思ったりもします。
二人称小説は、風変わりでいいですが、やるなら短編がいいかと思います。ショートショートとかだったら、成功するかも!
(ヨルモ)
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ヨルモって何もの?
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「小説の取扱書」を執筆しているのは、ヨルモのお父さんの先代ヨルモ。