作家インタビューWEB版 村田沙耶香さん
- タグ


公募ガイド5月号の特集「文芸編集者に教わる小説講座」では、芥川賞作家の村田沙耶香さんにご登場いただきました。
誌面に入りきらなかったインタビューをご紹介します。
村田沙耶香(芥川賞作家)むらた・さやか
1979年生まれ。2003年群像新人文学賞優秀賞受賞。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年『コンビニ人間』で芥川賞を受賞。
プロットはお作りになられますか。

村田先生
私はラストも途中も全く決めずに書きます。最初はノートを使って、主人公の似顔絵と設定を書いて、そこから自然に生まれるシーンを、後で捨てることになっても、書き留めていきます。ある程度、シーンを重ねるうちにだんだん小説が見えてくるので、そこからパソコンを使って書き始めます。
今回の『丸の内魔法少女ミラクリーナ』も、また芥川賞を受賞した『コンビニ人間』も、“普通”とされていることとのズレを主題にしているように感じました。

村田先生
自分は“普通”の側に立っていることと、“変わっている”ほうに立たされること、両方の感覚を知っていて、両方の視点で違和感があります。“普通”の側に立っているときは、なんでだろうと、自分に問いかけることが多い気がします。違和感を覚えるときは何かセンサーが反応しているときだと思うので大事にしています。「死とはなんだろう」とか、「動物の革のバッグはあるのに、なんで人間の皮は使わないのだろう」とか、小学生が無邪気に考えるように思うことが多いですね。
純文学とはどんなものだと思いますか。

村田先生
何もない小説でしょうか。どんな小説にも根底にあるものしかない小説だと思います。これは尊敬する方の受け売りですが、純文学には何か他と違うものがある、というのは勘違いで、全ての小説の根底に流れているものがあって、それにプラスアルファで、人を楽しませる要素が加えられることで、エンターテイメントになるのではないか、と仰っていて。それを鵜呑みにして、純文学とは、では本当はすごくシンプルなものなのかもしれないな、と勝手に思っています。

公募ガイド5月号では、芥川賞作家の村田沙耶香さんがどのようにして小説を書いているかについて聞いています。
公募ガイド2020年5月号
特集「編集者に教わる小説講座」
2020年4月9日発売/定価680円