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ヨルモの「小説の取扱説明書」~その11 自然主義文学~

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さて、第11回目のテーマは、「自然主義文学」についてです。

西洋の「自然主義」的な「自然」

自然主義文学と言えば、『居酒屋』を書いたゾラですね。

この“自然”は、「自然の法則に従えば、当然、こうなりますよね」という意味の自然です。

つまり、ある環境の中に、ある性格の主人公を投入したら、その人物がたどるストーリーは決まってきますよね、作者が無理に捻じ曲げたら不自然ですよね、ということですね。

この固有の環境や性格をしっかり書こうとすると、かなり大仕掛けにならざるを得ません。ですので、西洋の自然主義は長編が多いんですね。

日本独自の「自然主義」発展から「一元描写」へ

一方、西洋の自然主義の影響を受けた日本の自然主義は、田山花袋の『蒲団』の影響もあって、実際にあった出来事を赤裸々に書く(それが自然ということか)と誤解され、真逆の方向に進化してしまいます。

ルソーの『懺悔録』が紹介され、あんな偉い人にも、あんな恥ずかしい過去が! という衝撃があったりして、明治期はそういう流れがあったんだと思います。

でも、それが私小説を生んで、日本文学の伝統になったりしましたので、結果オーライのところもありますが。

日本の自然主義は、三人称で書いても一視点で書いていきますので、そのあたりから「視点がブレないように」ということが生まれ、また、視点人物となる主人公の内面も書ける一元描写というのも、自然主義の岩野泡鳴が言い出したことらしいです。

自然主義文学を読んだことがなくても、知らず知らずのうちに影響され、踏襲している技術はあるのですね。

(ヨルモ)

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「小説の取扱書」を執筆しているのは、ヨルモのお父さんの先代ヨルモ。