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ヨルモの「小説の取扱説明書」~その7 一元視点の限界~

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作文・エッセイ
小説の取説

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さて、第7回目のテーマは、「一元視点の限界」についてです。

主人公の「心」のすべて

一元視点は、「特定の人物(主に主人公)」「一人の目(五感)」をよりどころに書いていきます。

主人公がビデオカメラを担いで、「自分の目に見えるもの、自分の耳に聞こえる音」を書いていく感じです。

このビデオカメラのすごいところは、主人公に知覚できることなら、「嗅覚、味覚、触覚」なども映せること。もっと言うと、主人公の心の中も映せます。

というより、もともと小説に書く風景も音も匂いも味も肌触りも、思ったこと、考えたことも、すべて主人公の心に映ったもの。

主人公の心に映ったことを書いていくのが、一元視点の書き方ですね。

限界を見据えて技術を伸ばす

逆に言えば、主人公の心に映らないこと(知らないこと)は書けません。

主人公は自分の未来を知りませんし、自分以外の人の内面はわかりません。

知りたいなら、誰かの言葉や行動から断定したり推測したりするしかありません。

当然、今、どこかで起きている事件のことも、通信手段でもなければ知り得ません。そもそも、鏡でもなければ、自分の背中すら見えません。

見えないもの、知らないものは書けない。

これが一元視点の限界です。

ですが、簡単にはあきらめず、一元という制約の中で、どうにかして書こうとするところに技術が生まれます。

限界があるなら多視点で書けばいいや、とは考えないほうがいいです。やるとしたら、もうどう考えても一元視点ではこの物語は収まりきれない、という大きな物語に挑戦するときにしましょう。

 

次回は、小説の世界観が広がる「神の視点と大衆小説」について解説していきます。

(ヨルモ)

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