ヨルモの「小説の取扱説明書」~その7 一元視点の限界~
公募ガイドのキャラクター・ヨルモが小説の書き方やコツをアドバイスします。ショートショートから長編小説まで、小説の執筆に必要な情報が満載の連載企画です。毎週金曜日に配信。
さて、第7回目のテーマは、「一元視点の限界」についてです。
主人公の「心」のすべて
一元視点は、「特定の人物(主に主人公)」=「一人の目(五感)」をよりどころに書いていきます。
主人公がビデオカメラを担いで、「自分の目に見えるもの、自分の耳に聞こえる音」を書いていく感じです。
このビデオカメラのすごいところは、主人公に知覚できることなら、「嗅覚、味覚、触覚」なども映せること。もっと言うと、主人公の心の中も映せます。
というより、もともと小説に書く風景も音も匂いも味も肌触りも、思ったこと、考えたことも、すべて主人公の心に映ったもの。
主人公の心に映ったことを書いていくのが、一元視点の書き方ですね。
限界を見据えて技術を伸ばす
逆に言えば、主人公の心に映らないこと(知らないこと)は書けません。
主人公は自分の未来を知りませんし、自分以外の人の内面はわかりません。
知りたいなら、誰かの言葉や行動から断定したり推測したりするしかありません。
当然、今、どこかで起きている事件のことも、通信手段でもなければ知り得ません。そもそも、鏡でもなければ、自分の背中すら見えません。
見えないもの、知らないものは書けない。
これが一元視点の限界です。
ですが、簡単にはあきらめず、一元という制約の中で、どうにかして書こうとするところに技術が生まれます。
限界があるなら多視点で書けばいいや、とは考えないほうがいいです。やるとしたら、もうどう考えても一元視点ではこの物語は収まりきれない、という大きな物語に挑戦するときにしましょう。
次回は、小説の世界観が広がる「神の視点と大衆小説」について解説していきます。
(ヨルモ)
「#教えてヨルモ」に答えるヨルモ♪
長らくお待たせいたしました。
ここで、ヨルモに届いた小説の悩みをピックアップしてご紹介します。
今回はTwitterからの質問を取り上げます。
返信が遅れてしまってすみません。三人称(神の視点)であれば、地の文で主人公の知らないことを説明することができます。ただ、なんでも説明できますので、説明しすぎに注意したいです。三人称一視点の場合は、主人公が知らないことは説明しにくいです。してはいけないというより、不自然になります。
— 公募ガイド編集部 (@kouboguide) February 5, 2020
あなたの小説を書く上でのお悩みも、どしどしお待ちしております!
質問の仕方は、以下をご確認ください。
教えてヨルモ!
「うまい展開が思いつかない」「話がスムーズに運べない」など、小説を書く上で、困っていることを募集中! ヨルモが、あなたのお悩み解決を手助けしちゃいます♪
ご応募は、Twitter&メールで受け付けています。
【Twitter】
ハッシュタグ「#教えてヨルモ」をつけて、お悩み投稿してください。
【メール】
torisetsu@koubo.co.jp
件名に「教えてヨルモ宛」と記載。
本文に、お悩みとペンネームを記入の上、送信ください。
※皆さまからいただいた悩みは、選定後こちらの記事内で随時お答えする予定です。
※すべてのお悩みにお答えできるわけではございませんので、ご了承ください。
ヨルモって何もの?
公募ガイドのマスコットキャラクターの黒ヤギくん。
応募していることを内緒にしている隠れ公募ファン。
「小説の取扱書」を執筆しているのは、ヨルモのお父さんの先代ヨルモ。