プロット段階で「一発受賞の可能性がある」のひと言が励みに
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『第4回 ゴールデン・エレファント賞大賞を受賞して』
二十代の頃に、一度、地方の文学賞の優秀賞を受賞したものの、それ以降、鳴かず飛ばず。純文学系の文芸誌に投稿を続けるも、一次選考すら通過せず。もうそろそろ、小説家になる夢は諦めようかな。知人に若桜木先生の通信添削講座の存在を教えて貰ったのは、ちょうどそんな諦観の真っ只中にいるときでした。
ホームページを見ると、純文学以外のエンターテイメント系の新人賞なら何でもOK、とあります。純文学しか知らなかった私には、「エンターテイメント」の響きは新鮮でした。よし、やってみるか!
早速プロットを送ると、評判どおりの返信の速さで「この部分の設定は一切不要」「この人物も不要な人物」と、見事にバッサリ斬られていました。
ただ、プロットの中ほどに打たれた「●」の後の、「この事件から始めて、すぐに艦を出港させる。その後は、艦で起きる日常的な些細な事件を、連作短編形式のミステリーとして書いていく。そうすれば、もの珍しさから新人賞一発受賞の可能性が出る」とのコメントに、私の目は吸い寄せられました。一発受賞の可能性? 本当?
何しろ、それまで純文学一辺倒でしたから、ミステリーの「ミ」の字も知りません。まずは、連作短編のミステリーの傑作を教えて貰うところから始まって、私と若桜木先生のメール添削のラリーがスタートしました。小説を書いている事実は家族には一切、内緒にしていたので、若桜木先生の返球の速さは、ありがたかったです。
主人が出勤し、長女が登校した直後に送信すれば、午前中には添削済みの原稿が返ってきます。それを素早くUSBに落として、元のメールを削除しておけば、自分専用のパソコンがなくても、家族にバレません。こうして、家族用のパソコンと自分のガラケーを駆使しての執筆が続きました。
ゴールデン・エレファント賞に応募した後は、一次選考、二次選考と、私がWebをチェックするより早く「残っていますね」と先生からメールをいただき、感激しました。最終選考では、候補に残った五人のうち、私を含めて三人が先生の門下生だったんですよ。驚きました。
大賞を受賞して、プロットの段階での「一発受賞の可能性」が現実のものとなった今、若桜木先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます!
先生のご著書には本当にお世話になりました。なかでも一冊を選ぶとすれば、私は「時代小説家になる秘伝」を挙げさせていただきたく思います。
(ベストセラーズ刊)
アイディアとはこうして湧いてくるものなのか(湧かせるものなのか)といったところから、既存の作品の読み込み方など、読んでいるうちに「よし、私もやるぞ」「やってみよう」というモチベーションが上がってくるご著書かと存じます。
時代小説、新人賞応募作に限らず、物を書く意欲そのものが掻き立てられ、今も、くり返し拝読しております。
若桜木先生は、あの『白球を叩け!』の作者であり、卓球のカリスマでいらっしゃいますが、小説においてもやはりカリスマです。ドライブマンのくせになぜかツッツキ専門で、守備型のカットマンにさえスマッシュを打ち込まれる有様だった私が、先生のご指導のおかげでエンターテイメントの試合(小説)でスマッシュを打てるようになったのですから。しかし、一回スマッシュが決まっても、試合はこれで終わりではありません。
今度は誰にも見抜かれないサーブをあみだして、小説のサービスエースを決めたいなあ。
[wakasaki_debut]