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「ありきたりじゃない」プロットとは

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作文・エッセイ

 

第7回・日経小説大賞受賞

2015年12月に第7回日経小説大賞をいただくまで、7年近く若桜木先生の添削講座でお世話になっていました。

若桜木先生の講座の特徴を箇条書きにしますと、次の5つです。

1.プロットにOKがもらえるまで、小説を書かせてもらえない。

2.小説原稿の冒頭がスリリング(心理的サスペンスを含む)でないと、次のシーンに進ませてもらえない。

3.原稿を送って添削が返ってくるまでの時間が尋常でなく早い。

4.時代小説に出てくる言葉や農作物などが、該当の時代に存在していたかどうか(時代考証)について、詳しく教えてもらえる。

5.褒め言葉は一切なし。

プロットに関して、先生に「ありきたり」と言われない素材は何なのかを、ずっと探していました。時代小説を書きはじめたわたしの場合は、尾張徳川家や尾張・美濃あたりの歴史に行き着きました。

プロットにOKが出ますと小説を書きはじめますが、小説の冒頭はベートーベンの交響曲『運命』のように、との先生の教えは、『プロ作家になるための四十カ条』にも書かれています。

(ベストセラーズ刊)

冒頭では、主人公が精神的に焦っているシーンを作り出そうと苦心して、何度も改稿しました。次のシーンからラストまでは、わりと自由に書かせてもらえました。

ワンシーンを書いては、夜に先生に原稿を送ると、翌日の早朝、早くも添削メールが届いています。

朝、起きてすぐにパソコンを開くのですが、原稿の中に書き込まれたコメントを読むうちに、起き抜けのぼんやりした頭が急にシャキッとして、一日が小説からスタートします。また次のワンシーンを書いて夜に送信。翌朝、添削が届いていて、再び一日が小説からはじまります。

今、考えても、添削講座受講中は、なかなかに規則正しく、且つ刺激的な毎日でした。

時代小説を書いていると、小説の登場人物の言葉と食べ物には気を遣います。言葉については、類語辞典でなるべく時代小説風の言葉を探せますが、食べ物については、江戸時代のリンゴは小さくすっぱい和林檎で、白菜は日清戦争以降の舶来物、舞茸は尾張地方にはまだ広まっておらず……等、添削してもらう中で一つずつ覚えていきました。

ところで、人生は、人とのご縁がすべてだと常々感じています。

若桜木先生という師匠に出会えたからこそ、日経小説大賞を受賞して、著作を世に出せる結果となりました。

本を出したのちは、出版関係の方々や小説家や歴史好きの方、その他SNSでの交流を含めたくさんの方とのご縁をいただいて、今に至っています。

若桜木先生にはいくら感謝してもしきれません。

最後になりましたが、前述した『プロ作家になるための四十カ条』(若桜木虔著・ベスト新書刊)は、先生の小説指南本の中でもポイントが凝縮されていて、かなりおすすめです。

これからも、楽しく末長く小説を書き続けていきたいと思っています。

西山ガラシャ

2015年『公方様のお通り抜け』で第7回日経小説大賞を受賞。
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