公募博士の公募授業 川柳2時間目「気をつけたい川柳作りのポイント」
みなさんは川柳を作っていて、他の人と同じような句を作ってしまった、などの経験はありますか? 今回は「気をつけたい川柳作りのポイント」をテーマに、川柳作りで注意をしなければならない点を取り上げてみたいと思います。ヒルモ、ヨルモと一緒に確認してみて下さいね。
【1】ただの言葉遊びにならないようにしよう!
「博士~! この前、川柳コンテストに応募した『公募出し酵母も発酵いい感じ』がボツでした…。これ、どこがダメだったんでしょうか?」
「もしかしたら、言葉遊びが中心なっているからかもしれないよ。『面白い』も川柳の要素だけど、言葉だけで笑わせるのではなく、人間の面白さを詠んで結果的に笑わせたいね。」
「たしかに。ぼく、公募と酵母を掛けることばかり考えて、内容の面白さは全然考えていませんでした。」
「単なる言葉遊びにならないように、募集テーマや詠みたい内容を、自分の言葉できちんと表現するのがポイントだよ。」
「なるほど。それじゃあ『これいける うけをねらうも ぼつになり』。公募の経験を自分の言葉でよんだ上で、頭文字に『こうぼ』と言葉遊びを入れてみました。」
「今度は、単なる言葉遊びではなく句の内容と関連しているね!」
単なる言葉遊びにならないように、募集テーマや詠みたい内容を自分の言葉で表現するようにしてみよう。
【2】川柳はそっくりが起こりやすい!
「博士~! 今度は、ぼくとヨルモが作った川柳がたまたまそっくりだったんです。」
ヒルモの句「川柳を考え過ぎて夜更かしし」
ヨルモの句「川柳を考え今日も夜更かしし」
「川柳や俳句などは字数が限られているため、真似をしようとしていなくても似たような作品になってしまうことがあるんだよ。これを『偶然の暗合』というんだ。」
「どちらかが、真似したということで問題になってしまうんですか…?」
「偶然の暗合の場合は大丈夫だよ。でも、できるだけ既成概念にとらわれず、自分らしい視点から川柳をよむように心がけよう!」
偶然の暗合とは?
真似をしていないのに、似た作品や同じ作品になってしまうこと。字数制限などがあるため起こることがある。著作権は両者にあるとされるが、応募前に明らかに自分より先に作られたものがあると知った場合は、取り下げるのがマナー。偶然の暗合を避けるには?
自分らしい視点から川柳を作ってみよう。
【3】標語にならないようにしよう!
「川柳コンテストにどちらか応募したいのですが、どっちがいいでしょうか?」
1「要項をよく読んでから書き出そう」
2「要項をよく読み返す投稿後」
「1の句は標語になってしまっているね。標語とは主張したり、ある目的を呼びかけたりするものだよ。川柳にもいろいろあるけど、単なる注意では、詩としての味わいがないよね。」
「なるほど。1の句は要項を読む大切さを主張していますね。2の句は、ぼくのエピソードを詠んでいます。きちんと応募できたか心配になったり、結果発表が待ちきれなかったりして、つい要項をじっくり読み返してしまうんです。」
「詩としての味わいのある作品になるように、川柳を作る時は面白く伝えることや今という時代を意識してみよう。」
川柳とは→ 風刺や笑い
標語とは→ 主張や目的の呼びかけ川柳を作るときは面白く伝えることや今という時代を意識してみよう。
募集の趣旨によっては標語風の川柳が求められる場合もあるため、応募する前に要項を確認しよう。
川柳のポイントを教わったヒルモとヨルモ。みなさんも川柳を作る時の参考にしてみて下さい。
参考尾藤三柳『尾藤三柳の川柳用語集ことば110番』新葉館出版 平成22年