賞を深掘り!「響」文学賞
「『響』文学賞」という公募で、制作委員会賞をいただきました。
公募ガイド10月号ではちょうど「響」の特集でしたね!
この作品は、天才少女が芥川賞と直木賞を同時受賞するというサクセスストーリー。
今回の公募は、この大ヒットコミックから映画『響 –HIBIKI-』の公開を記念して東宝株式会社が開催したものです。
「響」をテーマに作文ジェネレーターを使用し、54字ぴったりで自由に表現するというお題でした。
作文ジェネレーターとは文字を入力するだけで、原稿用紙の画像を勝手に作成してくれる画期的なシステム。
その画像となったものをツィッターに張り付けて投稿するという応募方法でした。
これは初めてのことで、調べていくうちに知ったのですが、作文ジェネレーターによる9マス×6行の「54字の物語」は、ツィッター上で流行しているようです。
たった54字でもっと先が読みたくなるように皆さん工夫されているので、読み物として大変面白くお勧めです!
今回私が入選した作品はこちら。
奇跡的に入れた大学で合奏の授業があり、軽い気持ちで受け持ったトランペットに4年間泣かされた自身の経験を書きました。
熟練した吹奏楽経験者の中、初心者の私から出る楽器とは思えない音。
教室にも通い、私なりに努力はしたつもりですが一向にうまくならず、コンサートでは吹いたふりをする日々。
そんな「響かなかった音」を書いたのです。
周囲への申し訳なさ、情けなさ、劣等感、挫折。それを親友に相談すると
「前世の死因、トランペットで殴られたかなんかしたんじゃない」
と、ブラックジョークで笑い飛ばしてくれたのです。
落ち込んでばかりいた私の心を、軽くしてくれたことをよく覚えています。
思うようにいかないことは誰にでもありますし、自分の頭の中でポジティブに変換できない時もあるでしょう。
しかし、この友人のひとことのように言葉には現実さえ変えてしまう「力」がある。
これまで私が入賞した作品は総じて、誰かが私にくれた「力」を書いたものが多いです。
誰かの面白い言葉に敏感になったり、自分を変えてくれた言葉を心に刻んでおくことは、公募にとっても人生にとっても、重要なのかもしれません。