若手カメラマン発掘!キャノン「写真新世紀」募集始まる
新人写真家の発掘・育成・支援を目的としたキャノンの文化支援プロジェクト「写真新世紀」では作品を募集しています。1991年から始まり今年で40回目の開催、ガーディアン・ガーデン主催のひとつぼ展と並ぶ二大写真家登竜門ともいわれる注目度の高いコンテストです。グランプリを獲得すると奨励金100万円の他、次年度の受賞作品展、個展開催権利などが得られます。
昨年の応募人数は1723名、2015年からオンラインでのデジタル作品も応募可能になったため過去最高の参加総数になりました。2016年11月11日、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内)で行われたグランプリ選出公開審査会では、その中から優秀賞に選出された7名がそれぞれ作品に対する10分間のプレゼンテーションを行いました。
審議の結果、舞台写真などを手掛け、本人も金一志韓国伝統芸術院の一員として舞台に立つこともある京都生まれの写真家、金 サジ氏の『物語』がグランプリに選ばれました。キャノン「写真新世紀」のサイトでは表彰式の様子や受賞作品が観られます。
参加するには6月8日までに「写真新世紀」Webサイトでの申込みが必要です。作品は6月15日まで受付可能。
写真界の芥川賞と言えば、新人カメラマンを対象に優れた作品を選出する朝日新聞主催の木村伊兵衛写真賞。「写真新世紀」の受賞者がここでも名を連ね、未来の大物カメラマンがたくさん輩出されています!
「写真新世紀」おもな受賞者紹介
第1回(1992年度)
【優秀賞受賞】オノデラユキさん
独学で写真を学び、優秀賞を受賞後はパリに拠点を移す。2002年に第28回木村伊兵衛写真賞受賞、2006年にはフランスでもっとも権威のある写真賞「ニエプス賞」を受賞。主な作品はモンマルトルで撮影された『古着のポートレート』やカメラの中にビー玉を入れて実験的な手法で撮った『真珠のつくり方』など。
第4回(1995年度)
【グランプリ受賞】HIROMIXさん
高校時代にカメラマン荒木経惟氏(アラーキー)の被写体になったことをきっかけとして卒業と同時に応募した作品『SEVENTEEN GIRL DAYS』でグランプリを受賞。ガールズフォトブームの火付け役となり3年後には世界32ヶ国同時発売した写真集『HIROMIX』などでドイツ・コダックフォトプライズ受賞。さらに第26回木村伊兵衛写真賞を受賞。
【優秀賞受賞】佐内正史さん
24歳から写真をはじめる。第28回木村伊兵衛写真賞を受賞。映画『ジョゼと虎と魚たち』の劇中使用写真や、『NHK連続テレビ小説つばさ写真集 多部未華子』などの写真集、本の表紙やCDジャケットなどを手掛ける。
第5回(1996年度)
【グランプリ受賞】野口里佳さん
日本大学芸術学部写真学科を卒業。第5回「ひとつぼ展」でもグランプリを受賞。代表作『潜る人』は宇宙とのつながりを感じる現実とは別の空間を写し撮ったような作品が特徴。現在は沖縄を拠点に活動、2018年の第21回シドニー・ビエンナーレに参加予定。
【優秀賞受賞】蜷川実花さん
多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業。第9回「ひとつぼ展」グランプリ受賞、第26回木村伊兵衛写真賞受賞。ガーリーフォトのブームを牽引、監督を務めたAKB48『ヘビーローテーション』での鮮やかな色使いのPVは話題に。現在は朝日新聞社のニュース週刊誌『AERA』の表紙を手掛ける。
第9回(2000年度)
【優秀賞受賞】澤田知子さん
「外見と内面の答えのない関係性」に焦点をあてた作品、セルフポートレートの手法を用いた写真が特徴的。26歳のとき第26回木村伊兵衛写真賞を受賞、現在は母校である滋賀県の成安造形大学の客員教授として指導。
第13回(2004年度)
【佳作賞受賞】本城直季さん
大判カメラのアオリを使い、実際の風景がミニチュアに見える作品で第32回木村伊兵衛写真賞を受賞。簡単にミニチュア風の写真が撮れるチルトレンズ搭載のデジカメも人気に。奥田英朗の小説『家日和』『我が家の問題』など本の表紙も手掛ける。
第14回(2005年度)
【佳作賞受賞】鈴木心さん
コマーシャルフォトグラファー。第24回「ひとつぼ展」グランプリ受賞。コミックマーケットで撮影する鈴木心写真館の運営、トークショーや教則本の発売『写真がうまくなっちゃう7のこと』など幅広く活躍中。ちなみに奥さんは女優の坂井真紀さん。
第16回(2007年度)
【優秀賞受賞】青山裕企さん
筑波大学人間学類心理学専攻卒業、『スクールガール・コンプレックス』や宙に浮くサラリーマンを撮った『ソラリーマン』など日本人の人間関係を写し撮った作品が代表作。雑誌の表紙やグラビア撮影のほか、さまざまな媒体に連載を持ち写真教室の講師やゼミも務める。
【佳作受賞】武田陽介さん
大学在学中から銀塩写真(フィルム)での制作活動を始める。翌年の第17回「写真新世紀」でも佳作入賞、収録作品38点入った写真集『Stay Gold』は抵抗という意味。デジタル写真に移行し抽象的な絵画のような作品が持ち味。