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カキダシフォトコン 第1回「あの日のことを思い出した。」結果発表

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カキダシフォトコン
結果発表

「140字の物語」でおなじみの神田澪が出すお題にそって写真を募集するという、
小説×写真の新感覚フォトコン!

お題は小説の書き出し一行目。一文から物語を自分なりに考え、その物語を予感させるような一枚を撮影してください。

神田先生が審査を行い、最優秀賞と優秀賞作品には写真から受けたインスピレーションをもとに話の続きをつけていただけます!

自分の写真から1つの物語が始まる。異なるジャンルの作品同士が脈々とつながっていく面白さをぜひ味わってください。スマホ写真も大歓迎です。

神田澪が
写真からインスピレーションを受け、
140字の小説を紡いでくれる!

結果発表
ー お 題 ー
あの日のことを思い出した。

最優秀賞

photo by あや

「変わらない玄関」
「玄関の見た目、変えようよ」子どもの頃、
何度か父にそう声をかけたことがある。
父は決まって「でもねえ」と答えて、
ほとんど何も変えなかった。
昔の家族写真、古い鏡、雑貨屋で見つけた小物。
大人になった今、変わり映えのしない玄関を見て思う。
変えてもいいけど、でもねえ、どれも大切なんだよね。

神田澪 書き下ろし作品

■撮影時、想像した STORY /写っているのは久しぶりに会った父で、実家の玄関前。ドキッとするほど老けてしまった父だけど、相変わらずせっかちに靴をはいて先に外へ出てしまうところは変わりません。鏡にうつる自分もすっかり大人ですが、玄関前の空間は一瞬で子ども時代にタイムトリップできるほど昔のままでした

玄関には人生が詰まっていますね。鏡越しの横顔、こまごまとした飾り物、懐かしさを感じる色味。想像を掻き立てられる要素が絶妙なバランスで表現された一枚でした。

優秀賞

photo by Akane

「きょうだい」
二人の娘がひそひそ話をしている。
仲良さげなその様子を見ながら、かつて自分が「お姉ちゃんがほしい」と母にしがみつき、さんざん困らせた日を思い出した。懐かしい。ふと、末の娘がトコトコこちらに歩み寄って言った。「お母さん。私、弟がほしい!」私は少し困った顔をして、それからふふと笑った。

神田澪 書き下ろし作品

■撮影時、想像した STORY /私はひとりっ子で、ずっとお兄ちゃんかお姉ちゃんが欲しかった。両親が厳しかったので、甘えられる存在が欲しかったのだと思う。 いま娘が2人生まれて、仲良く成長していく姿を見て、夏の暑い日のスーパー帰りにお母さんにお姉ちゃんがほしいと駄々をこねた記憶が蘇った。

笑顔の二人はどんな話をしているのでしょうか?カメラを通してその様子を見つめる人物の表情まで伝わってくるようです。

photo by 岸

「サンダルに遺伝」
靴の置き方には性格が出るらしい。
よく晴れた日、ベランダで太陽の光を受けるサンダルを見て、実家を思い出した。几帳面な父はサンダルを脱ぐ時も整え、大雑把な母はサンダルの向きなど気にせず、バタバタと洗濯物を取り込んでいた。
私のベランダに置かれたサンダルは、ちょっとだけ向きがズレていた。

神田澪 書き下ろし作品

■撮影時、想像した STORY /一人暮らしを始めて少し慣れてきた頃、朝洗濯物を干したままの形になっているサンダルが1人ではなかった頃の何気なくて愛おしい一日を想起させるというストーリー。

懐かしいという言葉はどこか切ない。戻れない過去を思い出すからでしょうか。切なくて爽やかな過去と現在に想像が広がります。

佳作

photo by たま

■撮影時、想像した STORY /保育園に入った子どもの持ち物のおむつ。 ただひたすらに名前を書いていく作業も、気付けば回数が減っていた。まだ我が子が小さかった日のことを思い出している。

少しずつ子が成長する様子が、微笑ましくも少し寂しい、そんな親心が伝わってきます。

photo by ちゃんまり

■撮影時、想像した STORY /夏休み、祖父母の家で。お昼寝をしてしまい、目が覚めると家には誰もいなくて。ドキドキしながらも1人で冒険を始めるイメージです。いつもの畑に祖父母を見つけ、近くの商店で袋のかき氷を買ってもらって食べた、夏休みの私の思い出です。

小さな冒険者を見つけたおじいちゃん、おばあちゃんもきっと嬉しかったことでしょう。

photo by 反時計

■撮影時、想像した STORY /雨の日の公園でブランコに座っていた少女にもう一度会いたくて、雨が降るとときおり公園へ向かう。しかし、ぶらんこはいつも空席のままで、じっと見ていると梯子のように見えてくる。彼女はもう行ってしまったのかもしれなかった。

公園を通りがかるたび、空へと続く梯子を思い出すようになりそうです。

photo by ななせハチミツ/彩月志帆

■撮影時、想像した STORY /屋上手前の踊り場は、私たちの秘密の場所だった。20年ぶりに母校を訪れると、そこにいたのは「少子化」だった。

積み上がった椅子の中に見覚えるある傷を見つけたりしたら、より一層切なさが深まりそうです。

photo by 彩太

■撮影時、想像した STORY /部屋を掃除していたら、箱のなかからサッカー部時代のキャプテンマークが出てきた。あの頃は毎日、楽しかったな。試合に出ればそれなりにヒーローだった。もう一度、みんなでサッカーを始めるタイミングかきたのかな?同窓会の幹事はやっぱり俺だ。

目には見えないキャプテンマークが、今も腕に巻かれているのかもしれないですね。

photo by なかつ

■撮影時、想像した STORY /朝の犬の散歩中、誰もいない公園にポツンと何かが転がっている。サッカーボールだ。近づいてつま先でつっついて転がす。久しぶりの感触に懐かしさを覚え、昔友達とサッカーをした思い出がふと蘇ってくる。ゴール前で盛大に転んでできた稲妻型の瘡蓋の跡が、短パンから出た膝小僧に今も残っている

日常の中の、ちょっとした気づきや違和感。小さな物語はそこから始まるのでしょう。

photo by 水涸 木犀

■撮影時、想像した STORY /一時停止。小学生の頃は、必ず守らなければいけないと思って、律儀に足あとマークの上に立ち止まっていた。それをほほえましく見守っていたおじいさん、おばあさんは今も生きているのだろうか。 あの日のように、マークの上にそっと靴を載せる。自分が小学生の頃に戻ったような気がした。

大人になった自分の靴の大きさと比べて、過ぎた月日に思いを馳せる様子が想像できます。
ー 総 評 ー

たくさんのご応募ありがとうございました!

一般的なフォトコンテストとは異なり、カキダシフォトコンには「写真」と「ストーリー」という二つの要素があるのが面白いポイントです。どれも力作ばかりで何度も見入ってしまいました。

写真とストーリーを組み合わせるところに工夫のしがいがある一方、この二つをどう関連させるかというところで頭を悩ませた方々も多かったのではないでしょうか。写真をパッと見ただけで想像が広がり、ストーリーを踏まえてもう一度見ると更に様々な感情を引き出される。今回はそういった作品に賞を贈らせていただきました。

■選考委員/神田澪

140字の"超短編"小説制作者。作家・作詞家。著書は「真夜中のウラノメトリア」「最後は会ってさよならをしよう」「私達は、月が綺麗だねと囁き合うことさえできない」など。

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