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ネットの海で物語る【第10回】小説投稿サイトの特徴を見極める 2/2

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ネットの海で物語る
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各小説投稿サイトの特徴

≪小説家になろう≫
月間20億PVを超える日本最大級の小説投稿サイト。運営しているヒナプロジェクト自体は出版事業を行っておらず、収益源はほぼ広告収入のみ。ランキング上位になると書籍化の打診がくる可能性がぐっとあがる。当サイトのランキングを参考にしているレーベルも多い。人気ジャンルは「異世界恋愛」「ハイファンタジー」。

≪カクヨム≫
KADOKAWA運営。小説家になろうに次ぐ大手小説投稿サイト。ロイヤルティプログラムもあり、小説の収益化が可能。コンテストの種類やジャンルも豊富で、最近では「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」や「角川つばさ文庫小説賞」などもカクヨムから応募可能になった。大手サイトなので運営のKADOKAWAはもちろん、他社から商業打診がくることもありえる。人気ジャンルは「異世界ファンタジー」「ラブコメ」。

≪アルファポリス≫
投稿インセンティブ機能がある老舗の小説投稿サイト。小説の収益化が可能。一定数のポイントを稼ぐと作者自身で「出版申請」をすることができる。申請された作品に関しては書籍化の検討をしてくれる。「異世界恋愛」や「ファンタジー」ジャンルが人気。一番の特徴はWeb小説で人気の出やすいジャンルだけでなく、様々なジャンルのコンテストを毎月開催しているところ。自社からの書籍化に積極的。

≪エブリスタ≫
定期的に開催される「超・妄想コンテスト」が有名。短編小説の書き手も多い。様々なジャンルの書き手がいるのがいいところ。あえて人気ジャンルを言うなら「恋愛」。ヒューマンドラマの書き手が多いのも印象的。エブリスタ自体にも編集部があるが、様々な出版社やレーベルに企画を出しているのも特徴だろう。サイト内からのコミカライズ拾い上げも増えている。個人的には大人の恋愛もの(サレ妻、復讐ものなど)を投稿するのにおすすめのプラットフォーム。

≪ノベマ!≫
スターツ出版が運営。サイト内の作品を編集部がよく読んでいる。コンテストに応募していなくても書籍化の声がかかる可能性もある。コンテストでの受賞作品はもちろん、最終選考に残っていた作品も書籍化・アンソロジー本に収録されているケースがある。短編小説コンテストの受賞作品が改稿され、長編として書籍化するケースもあり、柔軟に作者と作品を作り上げているイメージが強い。刊行ペースが早いのも特徴的。≪ノベマ!≫は青春(余命ものなど)の十代の共感を誘う作品が主力のスターツ出版文庫と、ファンタジー作品を刊行しているグラストノベルがある。サイト内の拾い上げを意識するならこの2ジャンルで挑戦するのがマストだが、最近では「鬼の花嫁」のような和風・あやかし要素を含んだファンタジーも強い。

≪野いちご・ベリーズカフェ≫
スターツ出版はほかにも≪野いちご≫≪ベリーズカフェ≫を運営しているがこの2サイトは女性向け。野いちご自体はジュニア文庫に力を入れてきている。野いちごジュニア文庫では現在、コンテスト・サイト投稿だけではなく直接作品を応募することができる。ベリーズカフェはティーンズラブを含む大人の女性向けの傾向。異世界ファンタジーの要素を含む女性向け異世界恋愛の色が強くなってきている。電子書籍レーベルのマカロン文庫も存在する。(※ベリーズカフェでは官能や性シーンが主となる作品はNGなので注意)

以上、大手7サイトの情報と考察を書いてみました。私は色々と考えるのが好きなので、ネットで情報を調べたり、各小説投稿サイト発で書籍化された作品を調べたり、サイト内のランキング、SNSでの評判、実際に自分が使ってみた手触り・肌感覚・考察を蓄積しています。この7サイト以外にもあるのですが、ものすごい文字数の記事になってしまうのでこのへんでご容赦ください。

マッチングを意識する

もちろん、サイトにどんな作品を投稿するかは自由です。
各サイトで人気が出やすいジャンルじゃなくても作品自体の魅力で駆け上がっていくものもたくさんあります。
ただ、もし自分の書くものがはっきりしているなら、その作品にマッチングするサイトを利用する方が得だと思います。これはコンテストや公募でも同じです。「なんとなく目の前にあったサイトだから」「締切りが近いコンテストだったから」という理由だけで場所を決めるのはもったいないと思います。

仮にうまくいかなくても、それもまた情報の蓄積になります。トライ&エラーが常です。

このエッセイを通して私の情報を共有することで、少しでも皆さんの選択肢が増えると嬉しいです。
参考になりそうな部分があれば、どうぞ使ってやってください。(自己責任になりますが)

※次回は「受賞するための情報収集」についてお話する予定です。

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■profile
蜂賀三月 (はちが みつき)
小説家。ショートショート、児童書、YA小説をメインに執筆活動を行う。著書に『絶対通報システム~いじめ復讐ゲームのはじまり~』(スターツ出版)、 短編小説収録『5分後に奇跡のラスト』(河出書房新社)など。小説情報メディア 「WebNovelLabo」 を運営。

Amazonのアソシエイトとして、㈱公募ガイド社は適格販売により収入を得ています。