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実は、あなたも本が出せる④:電子書籍 ~印刷しない出版のかたち~

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市場規模は小さいが電子出版は増加傾向

2016年の出版の市場規模は1兆6618億円で、うち、紙の出版市場は1兆4709億円、電子出版市場は1909億円。
市場規模ではまだまだ紙のほうが優位だが、出版全体の市場規模が0.6%減だったのに対して、紙の市場規模は3.4%減で、電子出版が出版市場の減少を食い止める結果となった。
この電子出版は、電子書籍、電子雑誌、電子コミックに分けられ、このうちの電子コミックが76.5%を占め、電子書籍は13.5%しかない。
電子書籍と紙の書籍を比べても、たとえば又吉直樹の『火花』はダウンロード数17万DLに対して、発行部数は255万だから、シェアは10%にも満たない。
しかし、アマチュアの著者には朗報もある。2012年、あのAmazonがKDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)を始めたことだ。
個人出版、セルフ出版と言われるこのサービスでは、出版社を通さずに電子出版できる。電子出版自体は以前からあったが、KDPの場合は特別な知識も必要なく、とにかく簡単。一度試してみる価値はある。

電子書籍の個人出版ができるサイト

Amazon • Kindle

アマゾンジャパンが始めた、個人出版ができるサービス「Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)」。印税は35%、独占販売にすると70%。対応形式はEPUBなど。wordでも作れる。

楽天kobo

楽天koboライティングライフというサービスで個人出版ができ、楽天kobo電子書籍サイトで販売できる。楽天会員IDが必要。印税は45%、販売価格299円以上なら70%。対応形式はEPUB。

iBooks store 

iBooks Authorというアプリケーションを使って作成。MACに内蔵された電子書籍の販売サイトで販売する。MACの特性上、ビジュアル的な美しい本が向く。印税70%、対応形式はEPUB、IBOOKS。

個人出版代行サービス

パソコンを持っていない人、自分で作るのは面倒な人には個人出版を代行する会社も。たとえば、パブフル(http://pubfull.com/)なら上記のKDPでの出版が2万9800円。

個人で電子出版をやってみました!

費用0、 在庫0、 売れたら不労所得!

ここでは、電子出版をするメリットとデメリットを考えてみたい。まずは、メリット。

①費用がかからない。

紙の印刷物は用紙代、印刷代がかかる。刷り部数にもよるが、普通の単行本でも100万円ぐらいはかかるところ、電子出版の場合は0円。

②在庫がいらない。

購入した人は、パソコンや「キンドルペーパーホワイト」といった端末で読むので、増刷したり発送したりということがない。

③印税が高い。

個人の電子出版の場合、著者が出版元でもあり、印税70%と高くなる(紙の書籍を出版社経由で出す場合は高くて10%)。
一方、デメリットもある。

①自分で制作する。

個人でやるので、著述、編集、制作は基本自力でやる(代行会社に頼む手もあるが、パソコンがあれば個人でも十分にできる)。

②出来はよくない

編集者が企画を揉んで、デザイナーがデザインし、販売のプロの営業が売るわけではないので、商業出版のようなレベルのものは期待しにくいし、売れることも期待できない。
といったデメリットもあるが、
電子で売りやすいもの(実用書や、既存の書籍にない内容のもの)を持っている人にはオススメ!

Kindleダイレクト・バブリッシング 編集部の体験リポート

やってみました! セルフ出版

本特集を組むにあたり、編集部でも試してみようということになり、やってみることに。
しかし、そのために新たに原稿を書くのはしんどいので、以前、公募ガイドのホームページに書いた原稿を使うことにした。
手続き自体はしごく簡単で、1時間ちょっとでアップロード完了。画面には「72時間以内に販売開始」とあったが、実際には4時間後に販売が始まった。

Wordが使えて便利! 1時間で出版化へ

事前の準備

今回はAmazonの「Kindleダイレクト・パブリッシング」(KDP)を利用した。
まず、原稿を用意。ありがたいことにマイクロソフトのワードが使えるとのこと。ワードなら操作は楽勝だ。
用紙サイズはA4、縦書き、文字は12ポイント、用紙は横位置で、35字x30行でゆったり組む。今回は100編からなるコラム集で、1ページに1編としたので、それぞれのページに改ページを入れる。
その後、ワードの目次作成機能を使って巻頭に目次を挿入し、さらに内表紙をつけて原稿は終わり。

KDPのサイトへ

Amazonのアカウントを持っていない人はAmazonのサイトで作る(簡単に作れる)。それと銀行の通帳かカードなど、口座番号がわかるものを用意し、KDP(https:/ /kdp.amazon.co.jp/ja_JP/) のサイトにアクセス。

情報を入力

「本棚」にある「新しい本を作成」をクリックすると、入力画面が出てくるので、「個人用プロファイル」「支払い情報および銀行口座」「税に関する情報」を入力。
「個人用プロファイル」はタイトルや著者名など。これらの中にある「内容紹介」はAmazonのサイトにそのまま掲載されるので、ここはじっくり丁寧に書く。
その後の「支払い情報および銀行口座」や「税に関する情報」も画面の指示に従って入力したりチェックしたり。アメリカの企業だけに「米国での納税者ですか」のような質問がたくさんあり、ちょっとめげそうになるが、さほどの混乱もなく終了。

表紙のアップロード

KDPのサイト内で表紙を自分で作ることもできるが、今回は時間も能力もないので社内の人にお願いした。形式はJPEG、TIFF、寸法は縦256×横1600pxが理想で、色はRGB。
現実の書店で手に取ってもらうわけではない電子出版では、表紙と内容紹介は特に大事なので、ここは手を抜かないようにしたい。

本文のアップロード

表紙のアップロード同様、KDPの画面上で、デスクトップに置いてあるワードの文書を指定するだけ。あっというまに終了。ワードで書いたものがそのまま変換されるので便利なことこのうえなし(ワードのファイル名は日本語にしないこと)。

本のプレピュー

その後、プレビュー画面でちゃんと表示されているか確認する。
特になんの問題もなかったが、読んでいるうちに直したくなって、修正してはプレビューで確認すること数十回、4時間。推敲と同じで、どこかで見切りをつけないと終わらない。

本の販促

販売が開始になったら、SNSなどを使って宣伝をする。読んでくれた人がレビューを書き、それを見た人が本を購入するというのが一番お金のかからない方法。

 

※本記事は「公募ガイド2017年7月号」の記事を再掲載したものです。

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