公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

ネットの海で物語る【第13回】初心者のための文章作法(小説を書くときの基本的なルール)

タグ
小説・シナリオ
小説
ネットの海で物語る
ネットの海で物語る

初心者のための文章作法
(小説を書くときの基本的なルール)

いつもエッセイを読んでいただきありがとうございます。蜂賀三月です。
『ネットの海で物語る』も2023年最後の更新となります。
当エッセイは私自身の小説執筆歴が浅いということもあり「これから小説を書く人」に向けた内容が多くなっています。このエッセイを通して「来年は自分も小説に挑戦してみようかな」なんて思ってくれる人がいたら嬉しいです。

さて、今回はそんな人に向けて小説公募に挑戦するときに知っておきたい、基本的な文章作法についてお話していきます。

小説の基本的なルール

小説を書くにあたって、基本的なルールがあります。
前提としてこのルールは縦書きの文章を想定したものであり、文章を読みやすくするために作られてきたものです。合わせて、このルールは出版社や掲載する媒体によって変わることがあります。

なので「絶対に」「必ず」守らなければいけないものではありません。
横書きのweb小説や記事では、ルールを守ると逆に読みにくくなることもあるくらいです。

しかし、小説公募では縦書きの原稿用紙での応募が要求されることがほとんどです。 最低限の文章ルールを守っている方が、印象はいいのではないでしょうか。
少なくとも、ルールを守って印象が悪くなることがありません。
ぜひ、今回の記事を参考にしてみてください。

◆ 字下げ
文章の行頭(書き出しや改行後)は、文章のはじめを1字分空ける。
ただし、会話文のかぎかっこ(「」)から始まるものは、字下げの必要はありません。

◆ 感嘆符・疑問符について
感嘆符は(!)のこと。疑問符は(?)のことです。
1.感嘆符や疑問符を使用したあとに文章を続ける場合は、そのまま文章を続けずに1字分空けます。
2.感嘆符や疑問符で文章が終わる場合は、句点(。)は必要ありません。

◆ ダッシュと三点リーダーについて
ダッシュは(―)、三点リーダーは(…)のことです。
ダッシュはダーシって書かれる場合もあります。

このふたつは偶数での使用が推薦されます。

例)――
例)……

理由は慣例っぽいのですが、この偶数使いに慣れてくると、偶数じゃないとソワっとしちゃいます。

◆ かっこについて
1.かっこ内の文末に句点は必要ない。
会話文などのかぎかっこ「」まるかっこ()の文末に句点は必要ありません。 ※句点を入れている作品もありますが、その場合は全ての「」内で句点をつける形で統一が必要になります。

2.かぎかっこの中に使うかぎかっこは二重を使う。
かぎかっこ(会話文)のなかにかぎかっこを使いたい場合は、わかりやすいように『』を使いましょう。
いくつも同じ記号が重なっていると、読みにくくなってしまいます。

◆ 数字を使うときは漢数字で
縦書き原稿用紙では、数字は漢数字を使うのが好ましいです。
ただ、漢数字で表記するとわかりにくくなるものはアラビア数字を使用しましょう。
ルールは基本的に「読者が読みやすく」するためのものなので、すべての数字を漢数字に統一する必要はありません。
ひとつ注意点として、年号を漢字表記する場合は単位をつけず、数字を並べて表記してください。

例) 二〇二三年  ×二千二十三年


◆ 統一することが大切
今回の記事では、小説を書くときの基本的なルールをご紹介しました。

大切なのはこのルールを守るときも、あえて破るときも、作品内で統一することです。 こっちでは句点があるのにこっちではない。みたいな形になると、読者にとってそれがノイズとなります。

私は、文章のルールは守ることが目的ではなく、読んでくれる人が物語に没入しやすくなる、楽しんでもらうためのホスピタリティだと考えています。 表記揺れを統一したり、誤字脱字衍字をできるだけ潰すのも同じ理由です。

と、いうことで、次回は「校正」についてお話できたらと考えています。
みなさん、今年は大変お世話になりました。
来年も『ネットの海で物語る』をよろしくお願いいたします。

※次回は1/10(水)更新予定です。


■profile
蜂賀三月 (はちが みつき)
小説家。ショートショート、児童書、YA小説をメインに執筆活動を行う。著書に『絶対通報システム~いじめ復讐ゲームのはじまり~』(スターツ出版)、 短編小説収録『5分後に奇跡のラスト』(河出書房新社)など。小説情報メディア 「WebNovelLabo」 を運営。