絶対入選する! 賞金を稼ぐ!①:入選常連者に聞いた! お手軽系公募で常連入選になる
1件に何通応募する?
「1つの公募には10通前後送ることが多いです。あまり大量に投稿してもクオリティーが下がってしまうし、選者の方も大変だと思うので、本当にこれでよいか、ある程度考えてから送ります」
公募の作品にも〝信用保証〞があり、「この人、うまい」と思って見るとうまく思え、「この人、だめだ」と思って見ると下手に見える。
下手だという印象がつくくらいなら少数精鋭とし、高いレベルで多数応募できるならそれに越したことはない。
また、似た系統の作品ばかり出すのではなく、オーソドックスなものから変化球まで、いろいろタイプをとりまぜて応募するのがベターだ。
こうすれば入選する、入選したという経験はありますか?
「たくさんの作品に触れて審美眼を磨く、これは大前提かと。採用されるかどうかは選者に委ねられるとはいえ、まず作者本人に自身の作品のよしあしを判断する基準がなければ話になりません。その目を養うことで創作の質も効率も上がりますし、審美眼もより磨かれていくと思います」
審美眼を養うには、多くの作品を鑑賞するしかない。違いを見分ける能力は経験した回数に比例する。個人差はあるが、毎日お茶を飲む人はわずかな味の違いに気づき、初めて飲む人はわからない。これと同じだ。
「川柳などの短い表現は、基本的には過去の受賞作品を見ることだと思います。『なるほどねえ。では、こんなのはどうかな』と刺激を受けたり、『なんだよこんなのでいいのかよ、それならおれだって作れるよ』とやっぱり刺激を受けたり、大きく分けてこの2通りですね。
あとは自作の再利用のススメですかね。『台所・お風呂の川柳』に自信満々で応募した「キッチンに立たないほうが先に折れ」はかすりもせず、その後、改めて出した「大人あるある川柳」では賞を頂きました。『伊藤園新俳句』でボツだった「鳥渡るまるい地球を確かめに」も、『幸せさがし文化展』の俳句の部で賞を頂きました。自信作はボツになってもボツじゃないと思います」
募集の趣旨に合わずに落ちたのか、それとも僅差で落ちたのか、はたまた本当に駄作だったのか。それを見極めるのも本人の審美眼ということになろう。
最高賞金額と、今まで一番うれしかった賞は?
「『つぼ八夢大賞』。横綱白鵬との食事会や稽古見学に母を連れていったら大喜びで、親孝行できました。最高賞金額は『しんくみ大賞』の商品券25万円分。表彰式で女優の藤野涼子さんに作文を朗読され、サインをもらいました」
花蛙さんは文章系も得意。賞金もうれしいけど、お金では買えないものはもっとだろう。
「『御教訓カレンダー2013年版』で大賞と銀賞、優秀賞、入選(39点)になりました。大賞20万円、銀賞3万円。全部で25〜26万円の稼ぎに。1万点以上応募したので、『そりゃ結果も出るでしょ』という話なのですが」
1万点! なんという意欲!
目標にしている賞は? 年間の応募計画は立てる?
「目標は『伊藤園お〜いお茶新俳句大賞』です。今年は2次予選通過の知らせがありました」
取材した6人中3人が伊藤園の名を出している。ビッグタイトルでもあり、作品と名を残せる。賞金は50万円。
「『高橋書店 手帳大賞』です。当たれば大きいドリーム公募なので」
こちらは賞金100万円。だめもとでも応募しておきたい。
一方、応募計画は?
「計画は組みませんが、応募したい公募を締切順にスマホのメモに入力し、確認するようにしています」
応募したいものをリストアップするのも計画のうち!
モチベーションを上げるにはどうすればいい?
「『御教訓カレンダー大賞』には月に1度、1次予選通過作品の発表があるのです。最終的にカレンダーに載らないにせよ、こういう予選通過を発表してくれるシステムはとても励みになり、やる気が出ます。
もちろん高額賞金につられて大きな公募ばかりに手を出すのも悪くはないと思いますが、結果が発表されるには時間がかかりますし、そうそう結果が出るほど甘くもないと思うので、こうした小さな喜びで気持ちをつなぐことはとても大事だと思います」。
結果を待つのはつらい。応募は簡単でも、結果発表まで何か月もかかるものもある。
よく、「応募したことを忘れると入選する」という都市伝説があるが、今か今かと心待ちにしていると不思議と入選しないもので、その意味でも発表までの期間は長く苦しい。それを軽減する手立てがあるとすれば、それは次の公募に応募すること。
「公募ガイドを目につくところに置く(公募を身近に感じて常に触れられるようにし、日常生活に取り込む)。賞状は飾らない(過去の賞にとらわれないようにする)。いいものに触れる(いい作品を読み、好きな人に会い、好きな本、テレビ番組などを観る)。家族に褒めてもらう(頑張ってるねと声をかけてもらうと入選してなくても元気が出る)」
ライバルや同好の士がいれば刺激を与えられ、落ちかけたモチベーションも高まります。いない人は公募ガイドを友に。
※本記事は「公募ガイド2019年2月号」の記事を再掲載したものです。