絶対入選する! 賞金を稼ぐ!④:達人のプラン作り2/2


3.計画するだけではダメ! ドロップアウト防止策
「○年以内に受賞」のように期限を切る
「いつかやる」は「やらない」と同義語で、「いつか」と言っている人がいたらやる気がないのだと思ったほうがいい。創作も同じで、「いつか書く」「いつか応募する」では、その「いつか」は永遠に訪れない。
一番いいのは、期限を設けること。「今年中に長編を書く」とか、「3年以内に受賞する」のようにリミットを設定する。
それでも、「やりたいとは思うが、きっかけが」という人もいる。そうした場合は、どんなかたちでもいいから手をつけてみようとしか言えない。
落書きしているうちにその気になるかもしれないし、その気にならなかったとしても、やれば面白さもわかるし、不足しているものも見えてくる。
とにかく、行動あるのみ!
これが最後だと思ってみよう
あなたが眠りにつくのを見るのが/最後だとわかっていたら/わたしは もっとちゃんとカバーをかけて/神様にその魂を守ってくださるように/祈っただろう
『最後だとわかっていたなら』(ノーマ コーネットマレック作・佐川睦訳・サンクチュアリ出版)
これは10歳の子を失った女性が書いた詩。
「いつか」があると思うから予定を先延ばしにするのであって、「これが最後の応募」だとわかっていたら、「いつか」なんて言わない。「これが最後かも」と思おう。
刺激を与えてくれる仲間、同好の士を
常に目標のことを思い出させてくれる何か、自分に刺激を与えてくれる何かがあると、「気づいたら日々の生活に流され、あっというまに1年が終了」ということもなくなる。
その何かとは、まずは仲間、同好の士。たとえば童話が好きな人がいて、会えばどこそこの童話コンテストに応募した、入選した、今度表彰式があるといった話を聞かされると、いやがおうでも刺激される。
見知らぬ他人でも、「あの人がライバル」という相手を見つけるのもいい。負けじ魂に火がつく。
とくにそのような相手はいないという人は、公募ガイドを刺激物として利用する手もある。
発奮する装置を作る
1.人に公言する:「○○賞に応募する」と公言すれば、会う人会う人、「○○賞には応募した?」と言われ、目標を思い出すきっかけになる。
2.同好の士を求める:「今、書いている」「最後の仕上げ中」などと言われると、競争原理が働き、「負けてはいられない」と尻に火がつく。
3.悪い未来を創造する:悔しがっている自分を想像するのも手。先には立たない後悔を先にしてしまえば、そうはなりたくないと思って奮起する。
計画は無理ないか、計画通りか
期限を切って目標を決めても、モチベーションが高くても、計画自体に無理があるというのでは挫折するのは見えている。
たとえば、締切が1か月後に迫っているのに、「500枚の長編を書く」なんていう目標を立てても、意気込みだけでは到底終わらない。
事前の準備は終わっていて、あとは書くだけだったとしても、アマチュアなら1日平均5枚ぐらいにしておいたほうがいい。
つまり、500枚なら50日かかり、さらに推敲にも何週間かはとっておいたほうがいい。
計画に無理がないとしても、計画を立てっぱなしではだめ。計画どおりに進んでいるか、ときどき進捗を確認しよう。
できれば、手帳かカレンダーに「予定/結果」を書いて、毎週日曜日に確認するなど、定期的に進捗をチェックしよう。
遅れていればペースアップしないといけないし、それが無理なら、別の手段(たとえば、推敲の時間を削るとか、仕事を休むとか)を使って、創作の時間を確保する。
忙しい人は、時間を無理やりにでも作る
「計画は立てた。無理はない。だけど時間がない」という人もいる。本当に時間がないのかどうかは別として、「平日は朝6時起床、夜9時帰宅。週末はボランティア活動でつぶれ、夜は晩酌」というような人は、なかなか創作の時間がとれない。
このような人の場合は、思いきって習慣を変えるしかない。
たとえば、朝活。「前の晩に構想を練っておき、朝5時から6時に執筆する」とか、「夜は必ず1時間、本を読む」とか、「通勤時間の1時間は構想を練る時間にする」とか。習慣を変えて1日1時間を捻出すれば、年間365時間確保できる。
とくに30〜40代は家庭でも仕事でも中心になることが多く、時間がとりにくい。だから習慣を変え、無理やりにでも時間を確保するしかない。
毎日筋トレのような基礎トレーニングを
これも習慣に近いが、「毎日30分でも創作につながる何かをする」というのも目標実現に一役買う。
このルーティンワークは、創作全般の基礎トレーニング的なもの。毎日ジョギングをしたり筋トレをしたりすることに近い。
たとえば、文章をコンパクトに要約するのが苦手という人なら、毎晩、その日にあったことを俳句か川柳にする「1日1句」をするとか。あるいは、空想的な話を作るのが苦手な人なら、「何がどうしてどうなったか」あらすじを書く「1日1話」を実践してみるとか。
こうした毎日の積み重ねによって実力がつき、実力がつくと創作する気もわくし、創作へと自分を向かわせるきっかけにもなる。
受賞のコトバに見る本気の出し方
私にとって映画を撮るチャンスはこれで最後になるかもしれない。(中略)撮影の期間中は大げさだが本当に、「今だけは絶対に死ねない」と毎日思った。
PFFアワード2018受賞、工藤梨穂さん
計画を立ててそれを実行してきたこと、二度や三度ではめげずに繰り返してきたことが、気づかぬうちに頂への地図を私に授けてくれたのかもしれない。
第64回江戸川乱歩賞受賞、斉藤詠一さん
落選の現実を前に思ったのは、ここで諦めてしまえば他の誰かの夢が叶うだけで、それではいつまで経っても自分の夢は叶わないのだ、ということでした。
第13回小説現代長編新人賞受賞、神津凛子さん
何度もくり返し自身に問うたのは、「なぜ私は書くのか?」ということでした。小説なんか書かなくたって、別に生きてはいけるのに、と。(中略)そうやって様々な出来事を反芻してみて、ああ、やっぱり書きたいな、と改めて気づいたのです。
第59回講談社児童文学新人賞受賞、水野瑠見さん
※本記事は「公募ガイド2019年2月号」の記事を再掲載したものです。