ライトノベルを出版するといくらもらえる? 現役ラノベ作家が収入源について解説します


ライトノベルを出版するといくら儲かるのか。作家を目指している方も、読者としてラノベを嗜んでいる方も、一度は気になったことがあるのではないでしょうか。実際に私もその一人でした。
そこで今回は別名義でライトノベルを数作出版している私から、ラノベ作家の収入面について解説! どんな収入源があるのか、大体いくらくらいもらえるのか、また、実際にいくら稼げたのか、具体的な金額もお伝えします!
ライトノベル作家の収入源
ラノベ作家になると、どんな名目でどれくらいの額もらえるのか。さまざまな収入源について、一つずつ解説していきます。
印税
ライトノベルを出版したら確実にもらえるのが印税です。印税は正式には『著作権使用料』と呼ばれ、ラノベの場合は出版社に「自分の作品を販売していいですよ」と許可を出すことへの対価として支払われます。そんな印税には、大きく3つの種類があります。
刷り部数印税(発行印税)
刷り部数印税、または発行印税とは、出版社が発行した本の数を基準にした方式のこと。『本の定価×発行部数×印税率』で計算した額が、売れ行きにかかわらず作家に支払われます。まったく売れなかったとしても確実にまとまったお金が入るので、作家としてはありがたい限り。
ちなみに売れ行きが好調の場合、追加で本を刷ってもらえることがあり、これがよく聞く「重版」です。もちろん、印税も刷った数に合わせて別途支払われるので、重版がかかればかかるほど作家は儲かりますね。
どれだけ刷ってもらえるかは、出版社やレーベル、作家の実績や作品の人気によって大きく変わってくるため、一概には言えません。その上であくまで個人的な予想として数を挙げると、これからデビューする新人作家の場合なら、文庫本で8,000~10,000部、単行本で5,000~8,000部といったところではないでしょうか。
印税率は7~10%あたりが相場。基本的には公開されていませんが、『小説家になろう』で開かれているコンテスト『アース・スターノベル大賞』でノミネート&書籍化した作品は「10%をお約束」とのことです。

実売印税
実売印税とは、その名の通り、実際に売れた本の数を基に額を計算する方式のこと。たとえば、発行部数が5,000部で、売れたのがそのうちの半分だと仮定した場合、2,500部分のお金しか作家に支払われません。刷り部数印税であれば5,000部分が丸々もらえていたわけですから、これを見てわかる通り、作家の取り分は少なくなります。
となると、作家からすると実売印税には何のメリットもないように思えますが、出版社からすれば売れなかった時のリスクを抑えられるので、書籍化や続刊のハードルはその分低め。そのため、新人がデビューしやすかったり、刷り部数印税の出版社では打ち切りになっていたところを続けられたりといったことは考えられます。
この実売印税は大手出版社のアルファポリスが採用しており、印税率が10%であることを公表しています。また、契約書のサンプルも公開されているので、気になる方は見てみてください。
電子書籍印税
近年、収入を占める割合が大きくなってきているのが、この電子書籍印税。その名の通り、電子書籍に関する印税であり、実売印税と同じように売れた数だけお金が入ってきます。
計算は各プラットフォームから利用料などを差し引き、出版社に入金された売上に印税率をかけて算出されます。なので、出版社の負担でセールが行われた場合、作家に入る一冊あたりの儲けも減るわけで、電子書籍の場合は「一冊いくら」と決まっているわけではありません。なお、定価に印税率をかける出版社もあるそうですが、数は多くないでしょう。
印税率は20%前後が相場で、金額は3か月や半年ごとに訪れる振込日になってはじめてわかります。
翻訳出版したらその分の印税も
人気作になると、翻訳の上、海外でも出版されることがあります。その場合も刷った数(または売れた数)に応じて印税が支払われますよ。
印税の方式や部数などの数字は交渉できる?
条件は少しでも良くしたいもの。そこで発行部数や印税率といった数字のアップだったり、実売印税から刷り部数印税に方式を変更してもらったりの交渉は可能なのか、気になっている方も多いでしょう。
こちらは基本的にはできないと考えたほうがいいです。つまり、提示された条件を飲むしかなく、それでは満足できない場合は打診を蹴るしかありません。唯一の例外は、WEBに掲載している作品に複数の出版社・レーベルから打診があったケース。その場合は他社の条件を引き合いに出せば、条件がよくなることもあるかもしれません。