完全!文章系応募マニュアル5:こうとは言えないことや、こうしてほしい!を 主催者に聞いてみました


どっちが多数派か
ここでは、「こうすべき」とは言いにくい件について、その実際を調べてみました。
❶審査は到着順にするか、一括か
大半が一括でした。
ちなみに、「早めに応募したほうが余裕をもって読んでもらえる」と言う下読み人もいるようですが、この結果を見る限り、早く送っても締切間際に送っても同じようです。仮に、早く送ったほうが一次を通りやすいというのが本当だとしても、だめなものは二次で落ちますから同じですね。それより時間が許す限り、じっくり推敲したほうが得策です。
❷紐が多いか、ダブルクリップが多いか
6対4でダブルクリップが優勢でした。理由は、やはり着脱が自在だからということです。
「ソートをかけてコピーをとりますので、ダブルクリップだと助かります」
ソートというのは、コピーをとる原稿を自動的に送ってくれる機能ですが、紐で綴じてしまうと、パンチで開けた穴のせいで紙詰まりを起こします。
一方、「ダブルクリップは、適正なサイズのものを使い、枚数が多い場合は分冊して留めてください」という意見も。
枚数が少ないのに大きなダブルクリップを使ったり、逆に枚数が多いのに小さなダブルクリップで無理やり綴じたものは、何かの拍子にすぽんと外れてしまうことがあります。ダブルクリップには大小10種類ぐらいのサイズがありますから、適正なサイズを選んでください。
❸文字の大きさは何ポイントが適正?
10.5ポイントと12ポイントが半々でした。若い方は10.5が多く、年配の方は大きな字を好むようです。
❹個人のブログ、ホームページ、自費出版(流通していないもの)、同人誌で発表したものは受け付けていますか。
すべて「受け付けていない」とのことでした。個人のブログや小部数の私家本の場合、未発表の範疇とされることもありますが、応募を予定しているのなら、むやみに発表しないほうがいいです。
❺手書き原稿のサイズは何が多い?
今はA4が多いようです。A判は国際規格で、B判は国内規格ということもあり、今はA4判が主流です(ワープロ原稿も)。もっとも今は手書き原稿自体、1割にも満たないようですが。
❻ノンブルはどこに打つ?
ノンブルを入れるとしたら、右上、右下、左上、左下、中央上、中央下の六ヶ所がありますが、結論を言えば、ほとんどがどこでもいいという回答でした。
なお、右肩を綴じるならノンブルはその対角線上、右側2ヶ所を綴じるのならセンターがよいという意見も。ノンブルが原稿に入りこみ、字踏みしてしまっているものは論外です。
これはやめてほしい!
取材の最後に、「これはやめてほしい」という意見をお聞きしました。
意外と多かったのが、規定自体を守っていない作品でした。
「字詰めなど指定された書式が違っている作品が毎年見られます」
「応募要項を無視した作品は困ります。文字数規定外が多いです」
うっかりミスということもあるかもしれませんが、細心の注意を払えば防げたミスですね。
「着払いでいいので作品を返してほしい、と言わないでほしい」
手書き原稿を再利用するのでしょうか。作品の返却は不可ですね。
「製本されたものを送らないでほしい」
製本する前の元原稿を失くしたのなら、再度書き直しましょう。
また、規定には「原稿は読みやすく」とは書かれていませんが、読みにくい原稿に関する意見がかなりありました。
「字が小さ過ぎる、薄過ぎる、字間が空き過ぎる、手書きで書きなぐっているなど、読みにくい原稿はやめてほしい」
また、「便箋に書く、CDでの応募は不可」「二段組み、三段組みにしないで」「完結していない作品は送らないで」という意見もありました。
綴じ方に関しては、やはり「袋綴じにしないでほしい」という回答が多く、梱包に関しては、「ビニールや梱包材で包んだり、クリアファイルに入れたりなど過剰包装をしないでほしい」という回答もありました。開封作業は意外と手間を食うもので、封筒を開けたらすぐ原稿という状態が望ましいです。
最後は、原稿の修正について。
「差し替え原稿を送らないでほしい」
「原稿の追加訂正には応じられない」
いったん原稿を送ったあとで追加修正を頼んだり、もう一度送るから前のものは破棄してくれというようなことは基本的にはできません。特にウェブサイトからの応募では、手軽な分、慎重さにも欠けてしまうようです。送信する前に、念のためもう一度確認を!
※本記事は「公募ガイド2013年9月号」の記事を再掲載したものです。