あなたとよむ短歌 vol.52 テーマ詠「外国語」結果発表 ~動詞の数と助詞について~(2/3)
それでは、佳作のご紹介です!
ワーズワース、シェイクスピアを好みしわれ好きな短歌に出会う前まで
(三浦ユリコさん)
短歌に出会う前までは英文学が好きだった、という一首。英文学の古典は韻を踏むことを特に重視していますし、日本語訳も韻律を意識しているものが多いと思います。英文学と短歌、惹かれた要素は意外と共通しているのかもしれません。
「さよなら」をいろんな国の言葉で知るきみと上手に別れるために
(一途彩士さん)
さまざまな国の「こんにちは」「ありがとう」は知る機会が多いかもしれませんが「さようなら」は知らない国も多いかも。上手に別れられるからこそ、いつか上手に再会できる気がします。
fishにはぴきひきびきを使い分けIの種類も多くて困る
(美岡智樹さん)
通常の名詞は複数になると語尾に「s」がつきますが「fish」=魚は、複数でも単数でもfishのままです。それなのに、日本語だと「1ぴき、2ひき、3びき」と数え方が変わりますよね。日本語話者ではない日本語学習者にとって、非常に困るポイントだそうです。では「I」=私はどうでしょうか? 実際の「私」もいろいろな顔を持っていて、使い分けに悩む日々です。
welcome to 祖師ヶ谷大蔵 三分でわたしに戻る改札を出て
(水面叩さん)
英語を詠みこんだ一首。外国語を詠みこんだ名歌もたくさんあります。音数のカウント方法が難しいところですが、この場合は「welcome to」を3拍で読むとして、「祖師ヶ谷大蔵」が8音、「三分で」が5音なので、上句の「575」を変形した「385」という感じでしょうか。「三分で」の5音がきっちりしているので、かなりスムーズにリズムを取れます。改札を出ると「わたしに戻る」場所、それが祖師ヶ谷大蔵(東京都世田谷区)なんですね。