あなたとよむ短歌 vol.52【お悩み回答】~動詞の数と助詞について~(3/3)
それでは、今回はもいただいたご質問に回答していきたいと思います。
俳句は「主語」と「動詞」を省略します。「動詞は一句に一つでいい」とも言います。
短歌にはそういう、「この品詞を抑えた方がいい」はありますか?
以前、「動詞は一首にふたつまでがよい」という話を聞いたことがあります。特に初心者の方に対する目安として、私もこれには同意です。もちろんルールではありません。ただ、動詞を複数入れる場合は、その主語がわかりづらくならないように気をつけましょう。日本語は主語を省略できる言語なので、複数の動詞を使うと、無意識に違う主語を想定してしまう場合があります(普段のなにげない会話では、そういうケースは多くあります)。異なる主語を持ついくつかの動詞が一首のうちに混在すると、読者は混乱します。
また、動詞はその名の通り動作を表す言葉です。あまりに多くの動詞が詰め込まれていると、読者が場面を想像するときに、実に忙しないことになります。作者は「こう」と思っていても、それがスムーズに伝わるかどうか、フラットな視点で推敲したいものです。
品詞という観点でいうと、31音で構成される短歌では助詞(てにをは、など)を省略する人が多くいます。助詞は、省略しても意味が通じる場合も多く、削ることで定型のリズムに調整しやすいからです。個人的には、定型に収めるためだけに助詞を省略するのはおすすめしません。
助詞を省略すると、くだけた口語のようなニュアンスや、幼さが出てきます。そういったものを「狙って」省略するなら良いのですが、そういった狙いがないのであれば、余計な影響を生んでしまいかねません。
助詞の有無に迷ったら、ぜひ、声に出して読み比べてみてください。
個人的には選に漏れた作品は推敲の余地があるのだと受け止めて、
よりよい作品に磨いていく必要があるのだと捉えていますが、
一方で選者との相性もあるのかもしれないとも感じています。
柴田さんは選者との相性についてどのようにお考えですか?
「選に漏れた作品は推敲の余地があるのだと受け止めて」という心がけは、コンテストに作品を応募することを有意義なものにします。
入選しなくても自分なりに得るものがあるからです。ただ忘れてはならないのは、応募作品のうち、ほとんどは「選外」になるという点です。もちろん、選者との相性はあるでしょう。他の選者、他のコンテストに出したら入選する可能性もあります。また、もしかしたら同じ選者でも、別の機会であれば採用していた可能性すらあります。多くのコンテストでは入選数に決まりがあるため、迷いに迷った挙句に今回は採用を見送ったという可能性もあるからです。
選者があらかじめわかっているコンテストや投稿欄であれば、その選者の作品を読み、入選作品を読み、どこなくシンパシーを感じたら応募する、という形を取った方がハッピーだと思います。短歌の優劣はスポーツのように数字で測れるものではなく、選者ごとにも当然異なるからです。選者は選者なりに、公正公平を心がけて作品を選んでいます。
一方で、その選者に「選を任せている」ということは、その選者の感性を生かしてコンテストや投稿欄を盛り上げてほしいという、企画側の意図もあるのです。
選外になった場合、反省する、改作する、SNSに投稿して多くの人に見てもらう、著作権が自分にあるのであればこちらの「あなたとよむ短歌」に送っていただく……どんな取り組み方もあなた次第です!
作品や質問のご投稿ありがとうございました。引き続き、テーマ詠「アクセサリー」を募集しています。 テーマ詠は、お題の単語を短歌のなかに入れても入れなくてもOKです。そのテーマにあった短歌をお待ちしています。 どこかに応募した作品も、未発表も作品もぜひご投稿ください。(著作権がご自身にある作品に限ります)
応募規定 | 短歌(57577)を募集します。 テーマは「アクセサリー」。 応募点数制限なし。 応募フォームに柴田さんへの質問欄を設けています。短歌のことや、作品づくりについて選者:柴田葵さんに質問があればご自由にお書きください。匿名で質問内容とその回答を記事に掲載させていただく場合があります。必ずしも回答があるわけではございませんので、ご了承ください。 |
応募方法 | 応募フォームもしくはTwitterでご応募ください。Twitterの場合は公募ガイド公式アカウント「@kouboguide」をフォローして、ハッシュタグ「#あなたとよむ短歌アクセサリー」をつけてツイートしてください。 ※応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。 |
賞 | 最優秀賞1点=Amazonギフト券3000円分 優秀賞2点=Amazonギフト券1000円分 佳作数点=ウェブ掲載 ※該当作品なしの場合があります。 ※作品を記事内で推敲する場合があります。 ※発送は発表月末~翌月頭を予定しております。 |
締切 | 2024年7月31日 |
発表 | 2024年9月1日 |