【直木賞作家が描く幕末ドラマ】借財10万両から大逆転!備中松山藩の知られざる改革物語『孤城 春たり』11月29日発売


山田方谷という陽明学者の名前を聞いたことがあるだろうか。彼は幕末期、借財10万両という巨額の負債を抱えていた備中松山藩(現在の岡山県高梁市)の財政を、わずか7年で立て直した実在の人物である。直木賞作家・澤田瞳子氏が初めて幕末を題材に取り上げた長編小説『孤城 春たり』が、2024年11月29日に徳間書店より刊行された。
本作は、山陽新聞での連載を経て単行本化されたものだ。物語の中心となる山田方谷は、藩校・有終館の学頭を務めながら私塾も運営する教育者だったが、藩の窮状を救うため、財政を担う重要な役職を兼務することになる。倹約令の発布や殖産興業の推進、藩札の刷新など、次々と改革を実行。その結果、見事に借財を完済し、さらには10万両もの蓄財を実現させた。
しかし、その後押し寄せる幕末の激動の波は、地方の小藩である備中松山藩をも飲み込んでいく。藩主・板倉勝静が老中筆頭という立場にあったため、尊皇攘夷の機運が高まる中で藩は朝敵とされ、追討令が下される事態に――。
著者の澤田氏は「倒幕派、佐幕派という単純な対立構図だけでなく、その狭間で懸命に生きた人々の姿を描きたかった」とコメント。480ページに及ぶ大作で、激動の時代を生き抜こうとした人々の群像を丹念に描き出している。
発売を記念して、12月1日には八重洲ブックセンターグランスタ八重洲店でサイン会も開催される。参加には事前予約が必要で、『孤城 春たり』(税込2,420円)の購入が条件となる。