フジテレビヤングシナリオ大賞を振り返る いま狙うべきシナリオライターの登竜門は?
シナリオライターを目指す人たちが全力でぶつかってきた、歴史あるシナリオ公募「フジテレビ ヤングシナリオ大賞」。「ヤンシナ」の愛称で親しまれているシナリオライターの登竜門ですが、2025年の開催や前回の結果については未だ動きがありません。(2025.2.4時点)
フジテレビの騒動の収束も見えないなか、果たしてヤングシナリオ大賞はどうなるのでしょうか。賞の歴史を振り返るとともに、いま狙うべきシナリオ公募を調査しました。
※掲載している情報は過去のものの場合があります。今年度の開催状況は、主催者サイトを随時ご確認ください。
ヤングシナリオ大賞とは?
フジテレビが主催する新人シナリオライターの登竜門。1987年に創設され、その後のトレンディドラマブームを牽引しました。
近年では2月末に募集を締め切り、1次〜3次審査の状況をWEB上で発表、その年の年末に大賞を発表しています。2024年に募集のあった第36回には1585編の応募があり、3次審査の結果までは発表されていますが、最終結果の発表はなく年を越している状況です。
1時間ドラマの脚本を募集。大賞1編には300万円、佳作数編には50万円。賞金の大きさも目を引きますが、なにより受賞後すぐにドラマ脚本を担当するなど活躍するケースが多い点が魅力です。フジテレビのプロデューサーやディレクターが審査にあたり、即戦力になる才能を発掘します。
応募者には「自称35歳以下」という年齢制限が設けられている点もユニークです。年齢制限を気にしながら受賞を目指してきた応募者にとって、今年の動向が見えないのはつらい状況ではないでしょうか。
ヤンシナ出身者が手がけた名作ドラマたち
ヤングシナリオ大賞出身者の活躍はめざましいものがあります。
2025年現在、最もホットな人はなんといっても野木亜紀子さん。第22回(2010年)に「さよならロビンソンクルーソー」で大賞を受賞し、同作品は田中圭主演でドラマ化。その後、「主に泣いてます」「図書館戦争」「重版出来!」「逃げるは恥だが役にたつ」などの漫画・小説のドラマ脚本を手掛けて大ヒットを連発し、最近では「アンナチュラル」「MIU404」「海に眠るダイヤモンド」などのオリジナル作品でも超ヒット作を生みだしています。
坂元裕二さんは第1回の受賞者。受賞時の年齢は19歳でした。ドラマ「東京ラブストーリー」は23歳のときに担当した作品です。最近も「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」など話題を生み出し、映画「怪物」ではカンヌ国際映画賞脚本賞を受賞しました。
また、野島伸司さんは第2回の受賞者。ドラマ「101回目のプロポーズ」など、坂元裕二さんとともにトレンディドラマブームを作ります。
ほかにも、尾崎将也さん(ドラマ「特命係長 只野仁」「梅ちゃん先生」など)、安達奈緒子さん(ドラマ「透明なゆりかご」「きのう何食べた?」「おかえりモネ」など)、金子ありささん(ドラマ「ナースのお仕事」「花燃ゆ」、映画「ヘルタースケルター」など)、金子茂樹さん(ドラマ「プロポーズ大作戦」「ハチミツとクローバー」「俺の話は長い」など)も、ヤンシナ出身です。
経歴関係なし! 実力があれば即活躍
年齢制限以外に応募者には制限がなく、これまでの経歴は問われません。実際、第30回には当時14歳だった鈴木すみれさんが受賞しています。執筆時は13歳だったというから驚きです。
即戦力となる才能を見出すこととその後の育成については、他のシナリオ賞と比べても群を抜く印象です。野島伸司さんは受賞後半年で月9ドラマ「君が嘘をついた」の脚本を担当。野木亜紀子さん、小山正太さん、倉光泰子さんはいずれも大賞受賞から約2年後には連続ドラマを手掛けています。
最近では第33回(2021年)に大賞を受賞した生方美久さんの活躍が話題になりました。受賞の翌年、2022年には木曜ドラマ「silent」の脚本を担当。原作付きではなく、生方美久さんのオリジナル脚本です。川口春奈さんと目黒蓮さん主演。ろう者の恋愛を描いた本作品は、大きな反響を呼びました。
プロのシナリオライターを目指す人には、なんと魅力的な賞でしょうか。絶対に獲りたい、と闘志を燃やして書かれた力作が毎年集まってきます。