公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

シナリオ創作術①企画アイデアを探そう!

タグ
小説・シナリオ
シナリオ・脚本・台本・戯曲
バックナンバー

映画やドラマが好きで、自分でも作りたいと、シナリオを書き始める人も少なくない。そこで今回は書き方から公募対策まで、シナリオ創作術を基本から解説する。

物語のアイデアは、言葉によって膨らむことが多い。ここでは機械的に言葉を得て、それを膨らませる方法を紹介する。

アイデアには探し方がある

アイデアのタネは、機械的に探せる!

シナリオの場合、1行1行に予算がかかる。教室のシーンを撮るなら、セットを作るか教室を借りないといけない。役者やエキストラ、スタッフも必要であり、弁当代も必要となる。

だから、「見切り発車で、とりあえず書いてみました」というわけにはいかない。費用を出してもらうためにはプロットが必要であり、プロットを作るためには企画案が必要だ。

では、その企画はどう作るのだと言うと、急に天から降りてはこない。アイデアのタネ自体は、下記のようなシステマティックな方法で探すのが近道だ。

アイデアのタネを、妄想で膨らませる

シュルレアリスムのアンドレ・ブルトンは「プチ・パピエ」という遊びをしている。小さな紙片に各自が「いつ、どこで……」を書き、あとで集めて文章にする。これを応用したのが下記だ。

「いつ?」と書かれた袋に「今現在」「子どもの頃」などと書いた紙片を入れ、無作為に1枚引く。これをくり返すと、「今現在の職場で高齢者の浮気者が秘密をきっかけにそれを死守しようとするコメディー」という案ができる。

あとは「どんな職場の、どんな高齢者?」「秘密とは?」「どう死守するの?」というようにどんどん具体化していけばOKだ。

機械的に話のネタを作ってみよう!

「ストーリーのタネ作成シート」で重要なのは、「誰が」「どんなきっかけで」「何をしようとするか」。この骨格から話を膨らませるわけだが、たとえば誘惑といってもいろいろな誘惑があるわけで、何が浮かぶかはその人の知識と経験による。「作成シート」というより、今持っているアイデアの「発掘シート」とも言える。

このシートを使うときは、自分で好きな言葉に変えていい。ただし、どうとでも解釈できる抽象的な言葉であるほうが妄想がわきやすい。

スクリーンショット 2025-05-09 161814.png

ストーリーのタネ作成シート で作ってみた!

高齢者・浮気者・秘密・死守

病院に勤務する高齢女性は婚活中だが、狙いが定まらない。そんな折、浮気者の富豪の男性が入院してきて、富豪であることを周囲に秘密にしてほしいと依頼される。次々に秘密が発覚しそうになるが、主人公は秘密を死守する。

1日1ストーリー アイデアをストック

アイデアというと、「もしも年をとらない人がいたら?」というワンアイデアで考えてしまいがちだが、これだとストーリーになりにくい。やはり、「誰が」「何をしようとして」「どうなる」というように最初からストーリーに沿って考えていったほうがいい。

こうしたストーリーのタネ自体は空き時間にゲーム感覚で作れるものだから、できれば毎日作りたい。そうすれば1年後には365話のストックができる。

それをジャンルごとに分類しておけば、「次回はミステリータッチで書こう」のように思ったとき、それまでのストックが役に立つ。

持っているものを組み合わせる

アイデアは、「今、持っているものの新しい組み合わせ」だ。これは当然で、持っていいものは組み合わせることができない。

といっても、何も持っていない人はいない。シナリオを書こう、物語を作ろうという人であれば、映画やテレビドラマを観ているだろうし、小説も好きだろう。そうした物語体験を自分の中に探してみよう。

ストーリーを練るときは「より面白く」が前提。これも過去の物語体験をもとに、「面白い映画やテレビドラマはどんな設定で、どんなふうに展開していたか」を思い出そう。

企画のポイント

発想は自由に

予算的に実現不可能というシナリオもあるが、発想段階では制約にとらわれなくていい。

システマティックに

思いつきではなく、作成シートによって機械的に言葉を選んでいき、ストーリーのタネを得る。

抽象的な言葉から

いかようにも解釈できる抽象的な言葉を得て、そこから出来事を膨らませていく。

毎日作ろう

企画アイデアは毎日作る習慣を持ち、多種多様なストーリーのタネをストックしておく。

アイデアは自分の中に

どんなものが面白いか、何を面白いと思うかはすべて自分の中にある。それを引き出す。

タロットを応用したお話づくり

〈やり方〉 左の24の言葉をトランプに書く。またはトランプ大の紙に書くか貼る。24枚から6枚選び、引いた順に1~6の位置に置く。引いたときの向きが逆の場合は、書かれた文字と反対の意味になる。

〈ストーリーの作り方〉 引いた順番には左記のような意味があり、ここから想像を広げる。たとえば、「勉強熱心(❸至誠)だった学生が正統的(❶公式)なヤクザになり、やがて盃(❷誓約)をかわす。援助してくれる不当逮捕された人を助ける(❹解放)ために、警察(❻調和)と戦い、弱き者が生きやすいようにする(❻生命)」。

スクリーンショット 2025-05-09 162808.png

※本記事は2019年9月号に掲載した記事を再掲載したものです。