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世にも奇書な物語 希少奇書博覧会 Vol.1

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世にも奇書な物語
奇書 01
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小説

『煙滅』

ジョルジュ・ペレック

(水声社)

「e」が一度も現れない物語

リポグラム(文字落とし)の最高傑作。長編ミステリーなのにフランス語で一番多いと言われる「e」を使わずに書いている。
原作もすごいが、日本語訳もすごい。「い」を使わないだけだったら造作もないが、「い・き・し・ち・に・ひ・み・り・ゐ」を使ってない。それで翻訳できるとは! 登場人物や一などの数字に至るまで「い段」なしで翻訳しているのだ。これにはジョルジュ・ペレックだけでなく、訳者の塩塚秀一郎さんにも「お見事!」と言いたい。

ちなみに書名の原題は、『L a Disparition』。直訳すると「消失」だが、それだと「し」が入ってしまうので『煙滅』という造語にしている。これも見事。

日本の作家にも多大な影響が!

『煙滅』は日本の作家に多大な影響をもたらしただけでなく、挑戦意欲もかき立てた。
有名なのは筒井康隆の『残像に口紅を』。SNSで話題になり、リバイバルヒットとなったのはご存じのとおり。
西尾維新にも『りぽぐら!』というリポグラム小説がある。こちらもぜひ読んでみて!

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奇書 02
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小説

『生者と死者』

酩探偵ヨギ ガンジーの透視術
泡坂妻夫

(新潮文庫)

断裁すると長編が現れる

同書の17ページの最終行は〈中村千秋は美〉で、袋とじのときの次のページは〈青年だった。〉と続くが、袋とじを切ると、〈しい女性には違いなかった。〉となる。短編も長編も袋とじを切る前と切ったあとが全く矛盾なくつながるのだ。
こんなことよく思いついたものだし、よく書けたものだ。

生者と死者内容.webp

袋とじのまま読むと短編、切ると長編になるという紙の本だからできる仕掛け。出版史上類を見ない奇書!

独断で
決めた!

『ドグラ・マグラ』

夢野久作
(角川文庫)

精神病棟にいる記憶喪失の男の物語。本家三大奇書にも入っている。読んだら気が狂う?

『家畜人ヤプー』

沼正三
(幻冬舎アウトロー文庫)

ヤプー(日本人?)が人間椅子や人間便器に改造され、西洋人に使役されるマゾSF小説。

『虚航船団』

筒井康隆
(新潮文庫)

第1章の登場人物は文房具!第2章はイタチ族。読者の文学知識が試される実験小説。

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