納棺師の物語が第19回小説現代長編新人賞を受賞!死と向き合う感動作に注目


第19回小説現代長編新人賞の受賞作が決定した。朝宮夕さんの「薄明のさきに」が見事栄冠を手にし、選考委員特別賞には迂回ひなたさんの「梅咲く頃にまた会おう」が選ばれた。今回の受賞作は、死と向き合う納棺師の物語として注目を集めている。
「薄明のさきに」は、葬儀会社を舞台に納棺師が直面する生と死の現場を描いた作品だ。選考委員からは「執念の如き力を感じた」「納棺作業のリアリティには他者にない強さがあった」など高い評価を得た。著者の朝宮夕さんは神奈川県横浜市出身で、今回が小説初執筆にして初めての公募応募という快挙を成し遂げた。
物語は、損傷の激しい遺体を専門とする特殊復元処置衛生課に配属された新入社員・東雲を中心に展開する。様々な事情で亡くなった人々の遺体と向き合いながら、東雲自身も人生の意味を見出していく姿が描かれる。「死」という重いテーマを扱いながらも、人間の生きる力や希望を感じさせる内容となっている。
一方、選考委員特別賞を受賞した「梅咲く頃にまた会おう」は、大学生の青年が幽霊となった初恋の人と再会を果たす物語だ。選考委員の凪良ゆうさんは「小説は楽しい、ということを伝えられる強さを持っている作品」と高く評価した。著者の迂回ひなたさんは1993年新潟県新潟市出身で、鎌倉女子大学を卒業している。
両作品とも、タイトルを変更の上で単行本として刊行される予定だ。「薄明のさきに」は7月に発売が決定しており、「梅咲く頃にまた会おう」も近い将来の刊行が予定されている。
今回の小説現代長編新人賞には、641編もの応募があった中での受賞となった。新人作家の登竜門として知られるこの賞から、今後も注目の作家が生まれることが期待される。読書好きの方はもちろん、人生や死について考えたい方にもおすすめの作品となりそうだ。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000007114.000001719.html