北陸発、工芸の新境地!「GO FOR KOGEI 2025」が挑む"工芸的なるもの"の探求


北陸の地から、工芸の概念を覆す新たな風が吹き始めている。認定NPO法人趣都金澤が主催する「GO FOR KOGEI 2025」が、2025年9月13日から10月19日までの37日間、富山県富山市と石川県金沢市で開催されることが決定した。今回のテーマは「工芸的なるもの」。約100年前に民藝運動を提唱した柳宗悦の言葉から着想を得たこのテーマは、工芸の新たな可能性を探る挑戦的な試みとなりそうだ。
本イベントは、2020年からスタートし、毎年開催されてきた。地域の歴史や風土を体現する町並みや社寺を舞台に、展覧会やイベント、シンポジウムなどを展開。既成概念にとらわれない「KOGEI」の姿を提示してきた。今回の開催では、作家や職人が素材・技法と向き合う姿勢から生まれる多様な実践を通じて、現代の暮らしにおける工芸の役割を提案する。
アーティスティックディレクターを務める秋元雄史氏(東京藝術大学名誉教授)は、今回のテーマについて興味深い視点を示す。柳宗悦が提唱した「工芸的なるもの」という概念を手掛かりに、現代社会における工芸と社会の関係性を再考するという。個人の表現よりも社会全体で共有される美意識や様式に価値を見出した柳の思想を、モダニズム以降の現代においてどう捉え直すか。その問いかけは、工芸とアートの未来的な役割を探る重要な契機となりそうだ。
さらに注目すべきは、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で開催される国際シンポジウム「工芸の新たな伝統への挑戦:領域を超えた現代アーティストの活力に満ちた活動性」だ。工芸におけるジェンダーの壁を破り、分野を越境する現代アーティストの創造性に焦点を当てる。このシンポジウムは、グローバルな視点から工芸の可能性を議論する貴重な機会となるだろう。
「GO FOR KOGEI 2025」は、工芸を通じて私たちの暮らしや社会を見つめ直す機会を提供する。素材が持つ多面的な展開や、作品を介して開かれるコミュニケーション、そして暮らしの中での工芸の役割。これらを通じて、現代における「工芸性」の新たな定義が浮かび上がってくるかもしれない。北陸から発信される工芸の新しい波に、今後も注目が集まりそうだ。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000080771.html