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プロット・ネーム・コマ割り・作画を徹底解説! エッセイ漫画を描き始める基本ステップ

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STEP2 ネームを描く

プロットで作品の流れを作ったあとは、コマ割りし、そこに簡単な絵とセリフを描いていく。これがネームだ。

プロットを作り、ネームを描く

作文を書くときも、まず何を書こうかと考え、それが思いついたら、今度はどこを切り口にして、どこを落としどころにしようかと構成を考えるだろう。

エッセイ漫画の場合も同じで、まずはプロット(全体の大きな流れを箇条書きにしたもの)を作り、その後、ネームを描く。

ネームというのは、コマ割りしてラフを描き、セリフなども入れた絵コンテのようなものだ。手順としては、①プロットを作る。②ネームを描く。という段取りになる。ただし、プロットを作らないエッセイ漫画家もいる。

山﨑編集長は言う。

「プロットを緻密に書く人もいれば、いきなりネームを描く人もいます。また、最初にセリフだけ入れたネームを書く人もいます」

プロットとネームを同時進行でやる場合もあり、人それぞれ、ケースバイケースだ。

ただし、最初は基本に忠実に、プロットを書いてからネームに落とし込んでいこう。

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小さな山が2つ、大きな山が1つ

エッセイ漫画にも、4コマ漫画もあれば、2〜3ページのもの、もう少し長く10ページぐらいの単位のものもある。

ここでは、10ページぐらいのエッセイ漫画について聞いた。

「構成を作るコツは、全体の3分の2のところに大きな山場をもってくること。その大きな山までに小さな山を2つ作ると全体としてうまくまとまります」

つまり、小山、小山、大山という流れとなる。

ただ、5ページ以下の短いエッセイ漫画だと、小山2つは入らないので、いわゆる起承転結でまとめたほうがいい。

「エッセイ漫画の場合、表紙で最初の1ページ全部を使ってしまうとページがもったいないので、1ページの上半分ぐらいを表紙スペースにして、下半分から始めることが多いですね」

そのあとはプロットに従い、コマ割りしつつ、ネームを描く。

この段階はまだ本番ではないので、顔もマル描いてちょんで、あとはセリフを足すだけでOKだ。

ネームは下書きの下書き

エッセイ漫画は、劇画に比べれば絵は下手でもいい場合もある。実際、イラストが多めのエッセイといったような作品もあるし、絵はあるにしても、人物の簡単な動作や表情のみが描かれているというパターンもある。ストーリー漫画より、いく分、文章のウェイトが高い。

そのようなタイプの作品では、ネームを描く際、コマの中に文章だけ書くこともある。ただ、ネームを描いて、そのあと、下書きに移ったとき、絵柄についてもなんらかの手がかりを残しておいたほうが、あとの作業がスムーズに行える。そのためにも簡単な絵を描いておこう。

STEP3 下書きを描く

下書きは本番の前に描く下絵のようなもの。ネームは裏紙など適当な紙に描くが、下書きは本番と同じ紙に描く。

1ページにつき、平均6コマが基本

ネームを描き終えたら、本番の作画に入るが、もちろん、いきなりペン入れというわけにはいかない。まずは下書きだ。

下書きは、手描きの場合は鉛筆を使って絵やセリフを描き、デジタル(パソコン)の場合はタッチペンで描くが、その前にコマ割りについて補足しておこう。

「エッセイ漫画では、基本的に1ページを6コマに割って描いていきます。私の場合は、緩急をつけたり、大きく見せたいところがあったら、1ページを5コマにし、その分、次のページを7コマにしたりと、1ページあたり平均で6コマにしています」

山﨑編集長も、エッセイ漫画のコマ割りは、青年漫画などと比べると違うと言う。

「青年漫画の場合のコマ割りは、斜めに割ったり、コマの上にキャラクターをかぶせたりと、工夫を凝らしている作品が多いですが、エッセイ漫画の多くは斜めには割らず、まっすぐな線だけでコマ割りしています。読者の目をいかにスムーズに移動させるかが大事だからです」

ふだん、漫画をよく読む人は、どういうふうにコマが進んでいくか、瞬時にわかる。

しかし、ふだんあまり漫画を読まない人は、コマがどう進むのか戸惑うもので、エッセイ漫画の読者にはそのような読者も多い。

書店で、漫画コーナーではなく、書籍のコーナーで販売する場合は特にそうで、買う人も漫画だと思って買っていないこともある。

それゆえ、エッセイ漫画では、コマ割りでつまずいてしまわないように、シンプルに6分割にすることが多いのだそうだ。

人を惹きつけるタッチが重要

ストーリー漫画に比べると、エッセイ漫画の絵はシンプルだ。

劇画などはかなり写実的に描くし、写真を写したようなところもある。背景やディテールもしっかり描き、このあたりの力量がかなり問われる。

一方、エッセイ漫画の場合、線の数も少なく、あっさりした絵柄が多い。人物も三頭身だったりして、現実にはそんな人はいないが、かわいい人物として描かれる。

背景については、描かないと場面の違いがわからないときや、昼なのか夜なのかわからせる必要があるときなどはしっかりと描き込むが、ほとんどのコマではそこまで描かれない。

つまり、高度なデッサン力までは問わないということだが、しかし、絵のタッチは重要だ。

青沼先生は、書店でエッセイ漫画を探すとき、簡潔でシンプルなタッチのものに惹かれると言う。

「エッセイ漫画は、失敗談やお悩み系など、時につらい場面も出てくるので、感情を入れすぎないシンプルな作画のほうが読みやすいのかもしれません」

エッセイ漫画の場合は内容も重要だが、人を惹きつける絵柄、タッチであるかも重要だ。

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STEP4 作画に入る

作画は、下書きでいろいろと描き込んだ線をペン入れによって1本に決めていくような作業。漫画制作の最終局面だ。

ペン入れをし、色・柄をつける

山﨑編集長によると、今やエッセイ漫画家の8割近い人がデジタルで漫画を描いているという。青沼先生も、昔はアナログだったが、今はデジタルだ。

「アナログの場合は、漫画用原稿用紙に開明墨汁か製図用黒インクを使って、Gペンや丸ペンで描いていくか、コピックのミリペンを使っていました。デジタルにしたときは、コミックスタジオというソフトを使って描いていましたが、最近、クリップスタジオを使い始めました」

さて、作画だが、ペン入れをするときはまず線の太さを決める。

「アナログの頃は、一番太い線になる枠は0・8ミリ、絵自体は0・1ミリ、セリフなど絵よりも太く描きたいところは0・3ミリのミリペンで描いていました。デジタルになっても、それは変わりません」

その後、あらかじめ下書きしたものに最終的な線を入れていく。

下書きの線は細く、同じところに細かい線が何本も描かれていたり、線が曲がっていたりするが、そこに本番の線をしっかり描き入れていく。

アナログの場合、下書きの鉛筆の線はあとで消すが、デジタルの場合は下書きを薄い色の線にし、その上をなぞったあと、下書きの線は消去する。

線が描き終わったら、色や柄をつけていく。下記の2の絵では足の部分は黒く塗っている。また、3の絵では上着に柄をつけている。アナログでは太いペンで塗ったり、スクリーントーンという柄のある薄い紙を貼ったりしたが、デジタルならボタン1つで指定できる。

作画の手順

下書き

粗いラフだったネームをもとにペン入れをする前の下絵を描いていく。この段階でキャラクターの表情やセリフなども決めていく。

ペン入れ

ペンを使い、下書きに本番の線を入れていく。アナログの場合は鉛筆の線を消しゴムで消すが、デジタルなら下書きも一瞬で消せる。

仕上げ

いよいよ最終段階。色を塗ったり、スクリーントーンを貼ったりし、作品全体のクオリティーを高めながら作品として完成させる。

※本記事は2019年7月号に掲載した記事を再掲載したものです。