ヒット連発の秘訣は「正直さ」! わたなべぽんさんの等身大エッセイ漫画術とは


読むと自分と向き合え元気になれると、出す作品が次々ヒット! 人気のわたなべ先生に創作秘話を伺った。
受賞作品と自作を比べ、違いを考えてみた
わたなべぽんさんは、アダルトビデオを扱う古本屋での店長経験を描いた『桃色書店へようこそ』でデビュー。以来『スリム美人の生活習慣を真似したら1年間で30キロ痩せました』シリーズは累計35万部、『やめてみた。』シリーズは累計17万部とヒット作を出し続けている。
「デビューは三十過ぎです。漫画家を目指していましたが、諦めかけていたとき、古本屋の姉妹店の店長さんが『ダ・ヴィンチ』を持ってきて、これに応募しなよってコミックエッセイプチ大賞を教えてくれて。1回落ちましたが、受賞作を見て、自分との違いを探し、再チャレンジしたら受賞できました」
作品のストーリーやタッチ、特徴を自分なりにつかみ、2回目はイラストエッセイ、4コマ漫画、ストーリー漫画など4パターンを応募。そして、その中の4コマ漫画が選ばれた。
「いつ連絡が来てもいいようにと、編集部の電話番号を携帯に登録してお守りのように持っていたんです。そしたらある日、本当に連絡があって……」
受賞後は担当編集者にアドバイスを受けながら打ち合わせを重ね、半年後、雑誌連載が始まった。
「編集さんに職業を聞かれ、女性なのに半分アダルトショップの古本屋で働いていると話したら、すごくびっくりされて(笑)。それ描けますか?となったんですね」
それが『桃色書店へようこそ』だ。
だめなところがあったほうがいい
その後、1年で30キロ痩せた実体験を描いたダイエット本を出したが、これも描くきっかけは担当編集者を驚愕させた強烈なエピソードだった。
「太り過ぎで便座が割れたんです(笑)。もう普通にトイレに行けない女になる!とショックで。そこでダイエットして久々に編集さんに会ったら、18キロ痩せていたので驚かれて。『もう美人の真似しかしないことに決めたんです!』って言ったら、それ面白いですね、描いてくださいと」
わたなべぽんさんの作品には、ダイエットや片づけの方法論を解説するのではなく、自分と向き合い、そうなったきっかけを探し、心の持ちようから変えていく様子が描かれている。
「ダイエットや片づけはよくあるテーマ。だからこそ、そこに自分なりのエッセンスが必要。私の場合、自分を客観的に観察して描いているところが面白いと言ってもらえることが多かったので、そこを伸ばしたいと思いました」
目を引く努力だけでなく、読者に共感してもらえる描き方がコミックエッセイには必要だ。
「あまり人には言いづらい悩みや自分のだめなところをあけっぴろげに描いてきました。そこに共感してくださる読者の方が多かったのでは?と思います」
わたなべぽん先生に創作について聞いた!
キャラクターは凝り過ぎない
「コミックエッセイは話と展開次第で十分に感情移入できるので、絵はシンプルにしています」コマの中で顔や絵を凝りすぎると、感情移入しにくくなってしまうので注意。
セリフは短くシンプルに
「吹き出しの文字数が多いと目が滑るので、セリフはわかりやすく短く書くことをオススメします」素直な自分の言葉で、すんなり読者の心に入るよう心がけて。
話を盛り込み過ぎない
「1 つの話で言いたいことは1 つに絞っています」ストーリー漫画と違い、長い話を見せるのではなく、切り口で見せる。ざっくりしたコマと印象的なセリフで展開しよう。
わたなべぽん
第6回コミックエッセイプチ大賞・C賞でデビュー。自分を好きになるための様々な挑戦を描いたコミックエッセイが人気。
※本記事は2019年7月号に掲載した記事を再掲載したものです。