Plott式YouTubeアニメ制作! 分業×同時進行で安定的に作り続ける


アニメーターや動画クリエイター、一流のプロたちの手で新たなアニメが生み出される。
YouTubeアニメの作り方から構築
YouTubeアニメはテレビアニメと比べると、1本が5分から10分ほどと短く、テレビアニメが週1本配信なのに対して週3〜6本配信しているチャンネルが多いことが特徴。
「PlottではYouTubeならではの面白いアニメを目指して、YouTubeという流れの速いプラットフォームでアニメを安定的に作り続けるために、作り方から構築しました」と奥野さんは語る。
協力しながら同時並行で制作することで、短期間で仕上げられるようになっているのだ。

ここがすごい!
・脚本ができた段階で絵コンテ、イラスト、音声が同時スタート。それぞれが分担して進め、最終的に動画編集の段階で全てを合わせる!
・簡単なアニメーション(手を振るなど)であれば、モデリングでキャラを動かして作れるので工数の短縮に!
プロジェクトマネージャー 新倉拓馬さん
動画制作の要
——どんなお仕事をされているのか教えてください。
プロジェクトマネージャーという仕事をしています。クリエイターではなく、どんな動画を作るのかの企画立案や制作進行の管理が主です。とはいえ、企画を考えたりキャラを考えたりもするのでビジネス+クリエイティブのバランスを重要視しています。
——特に印象深いお仕事は?
『秘密結社ヤルミナティー』という、都市伝説やオカルトを扱うチャンネルです。最初の企画立案から現在もずっと携わっています。デザイナーと一緒にキャラ設定を何日も悩んだ思い入れ深いチャンネルです。
脚本家 ミャーシーさん
視聴者を裏切りたい!
——普段、どういう感じでお仕事されているんですか?
1話分が4500字から5000字で、1日1話は書いています。YouTubeアニメはいかにキャラを魅力的に見せるかが重要なので、脚本もキャラの個性を出すことを意識しています。また、視聴者をいい意味で裏切りたいなとはいつも思っていて、タイトルからしてコメディっぽいときはわざとすごく怖いシーンを入れますし、その逆もあります。
——ほかのYouTubeアニメチャンネルを見たりしますか?
よく見ますよ。うまいなと思うことも、いやいやこちらが勝っていると思うことも(笑)。
アニメーター ぺなんしーさん
みんなで作る面白さ
——どんなお仕事をされているのか教えてください。
絵コンテを描いたり、アニメーションを作ったりですが、いまは自分が手を動かすのに加えて演出全体のチェックも行っています。ただ、うちの場合は、絵コンテなしでイラスト作業に進んだり、アニメーションもモデリングを使っていたりするので、通常想像するような「手で1枚ずつ描くアニメ」とは少し違いますね。
——詳しく知りたいです。
イラストレーターさんにキャラを描いてもらったらそれをモデリングするんです。そうしてできあがったものを使って、画面録画しながらキャラを少しずつ動かして、それらをつなげてアニメーションにしています。
——すごい、そうやってアニメにしていく方法はどこかで学ばれたんですか?
技術としては、もともとフリーでアニメ制作を行っていたのでそういう時代に学びましたが、YouTubeアニメを作ることはこの会社に入ってから、みんなで試行錯誤して完成させました。
——ひとりでやっていたんですね。
そうです、なのでこうやってチームで協力しながら1本の動画を作っていくのはとても面白いです。この場にいるだけで新しい情報を吸収できますし、やっぱり人数がいた方があらゆる可能性が広がりますね。
イラストレーター 三浦由莉花さん
趣味も仕事もアニメ!
——イラストレーターさんとはどんなお仕事なのでしょうか?
Plottの作るアニメには2パターンありまして、『テイコウペンギン』のようなキャラクターアニメーションと、漫画動画というものです。私は主に漫画動画のイラストを担当しています。
前者は絵コンテを元にイラストを描き、後者は脚本を元にネームという形で進めていきます。基本演出はイラストレーターにお任せなので、自由に描ける部分は多いと思います。
——特に印象に残っているお仕事はありますか?
やっぱり企画立案時から関わっているものは思い出深いです。『円満解決!閻魔ちゃん』は、制作フローや設定作りから担当したので、そのアニメ世界を本当に0から作っているんだという興奮がありました。
——作るうえでのこだわりは?
私は「自分が楽しいか」がまず絶対のこだわりですね。楽しんで作られたものって視聴者にもちゃんと伝わります。そのために自分が関わるアニメのことをもっと知って好きになりたいと思いながら描いています。
——もともとアニメ好き?
そうですね好きです。最近だと『呪術廻戦』にハマっていて、エンディングが面白い手法だったのでうちでも生かせないかなと考えながら見ていました(笑)。
動画クリエイター おうみさん
視聴者目線で考える
——動画クリエイターとは、文字通り動画を作っていくお仕事?
そうです(笑)。私の仕事は動画を作らない方には想像しにくいかもしれないですが、声やイラストやアニメーションなどの素材が最後に集まってきて、それらをひとつなぎの動画にする仕事です。でもただつなげていくだけかというと、そういうわけではなくて、演出面はいろいろと手を加えながら完成に近づけています。
——演出というと?
たとえば走っているアニメーションがあったとしてその速さや背景は私の裁量です。必死で走っているのであれば背景もそれに合わせてびゅんびゅん飛んでいるように動かします。
また、声優さんに収録していただいた音声も動画のテンポ感に合わせてタイミングを詰めるなど、調整を加えています。YouTubeアニメはテレビアニメより展開もスピード感もかなり速いので、それに合わせて短く切っていくことが多いかなあ。そのあたりは、脚本段階ではどう考えていたのかを脚本担当に聞いたり、アニメーターに相談したりなど、皆で決めていくこともあります。
——YouTube独特のスピード感ってありますよね。
YouTube だとやっぱりどんどん進んでいく、引っ張っていくキャッチーさが必要ですね。みてくれる人が楽しめる動画を意識しています。
※本記事は2021年7月号に掲載した記事を再掲載したものです。