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【俳句×分析】季語の魅力を引き出す六角成分図とは?碧西里の作句術

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季語分析の達人 碧西里さん

季語を六角成分図で分析し、ツイッターに上げている碧西里さんに、分析のポイントを聞いた。

「プレバト!! 」を観て俳句にのめり込む

碧西里(俳号)さんは、「プレバト!!」の俳句査定を観て、俳句にはまった。「添削で句が生まれ変わるのが面白いなあと思って。それがきっかけです。詩や小説を読むことは好きでしたが、俳句を作る側になるとは思っていませんでした」

俳句は難しいと思っている人も多いが、碧西里さんの場合はどうだったのだろう。「夏井先生の本を読んで、『12音+季語』でいいなら私にもできそうと思い、ハードルが高いとは思いませんでした。俳句は17音しかないのに、言葉の組み合わせ方によっては17音以上のことを言えるのが面白いですね」

碧西里さんは、六角成分図をどのように活用しているのだろう。「六角成分図は、松山市の投句サイト『俳句ポスト365』の兼題(季語)に使っています。2週間に1回、兼題が出されますが、そのとき、視覚だったらどんな情景やモノを連想するかを書き出していき、最後に10段階で評価します。この過程で、季語の基本情報をネットで調べたりします。一つの季語について分析するだけでなく、前に似た季語を分析していたら、それと比べたりします。分析が終わったら、季語以外の12音と組み合わせて作句に入ります」

碧西里さんの季語分析と作句

季語:落葉

「五感+連想力の項目についてイメージするものや歳時記などで調べたことをメモします。視覚、聴覚などはすでに季語が持っていましたので、作句のときに季語以外の部分に六角成分図の凹んだ部分(要素が少ない部分)の味覚を取り合わせ、『人選』を頂きました」

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完成した句
カフェオレと落葉の共通点みっつ

季語:蕨餅

「兼題『蕨餅』のときは、六角成分図で要素が足りない聴覚を取り合わせるのではなく、いろいろ考えた結果、メモした「みちのく」「黒みつが垂れる」「春の山」といったところから発想し、季語がすでに持っている視覚情報を強める方向で作句しました」

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完成した句
蕨餅糸雨をまとひて女神山

季語分析を作句に生かすポイント

季語が持っていない要素を確認しよう

季語分析を句に生かす方法は、「季語が持っていない要素を補う」「季語が持っている要素をさらに足す」の二つがあるが、初心者は前者でいこう。

分析した六角成分図を見て、凹んだ部分の要素が季語以外の部分に盛り込まれているか確認しよう。

スクリーンショット 2025-06-30 121808.png

解説
「山笑う」(春に山々の草木が芽吹いて明るくなる様子)に不足した要素は味覚と触覚。このあたりを取り合わせで季語以外の部分に盛り込もう。

 

碧西里
「プレバト!!」をきっかけに俳句沼にはまる。いつき組。2年ほど前、ベトナム在住時に句作を開始。現在は千葉県在住。
 

※本記事は2021年3月号に掲載した記事を再掲載したものです。