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未来の挑戦者へ 第10回角川つばさ文庫小説賞一般部門金賞 平河ゆうきさん

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未来の挑戦者へ
受賞者が未来の挑戦者であるあなたに向けてメッセージを送ります。今回は第10回角川つばさ文庫小説賞一般部門で金賞を受賞した平河ゆうきさんです。
第10回
角川つばさ文庫小説賞

2009年3月に創刊した児童文庫レーベル「角川つばさ文庫」。本レーベルに収録するのにふさわしい、9〜13歳の児童を読者と想定したエンタメ作品を募集する小説賞。青春、冒険、ファンタジー、恋愛、学園、SF、ミステリー、ホラーなど、ジャンルは不問。

規定一般部門:40字×28行で70〜100ページ。
こども部門:応募資格は中学3年生以下。400字詰原稿用紙で30枚以内。

一般部門:大賞1編=賞金50万円、金賞1編=賞金30万円、ほか
こども部門:グランプリ1編=図書カード1万円分、ほか


受賞者 平河ゆうきさん

香川県出身。神戸大学法学部政治学科卒業。会社員。現在は、受賞作の刊行に向けて修正作業中。写真は、プロフィール画像代わりのラケット。ラケットを振る感覚くらいは最低限知っておくべきだろうと思い、購入しました。

受賞作品 『凸凹バドバード』

香川県に住む小学5年生・日下部ことりは身長173cmと非常に背が高いが、おとなしい性格もあってスポーツに苦手意識がある。だが東京からやってきた転校生・大鳥奈央は、バドミントンでペアを組むパートナーとして、ことりを強引に誘う。奈央の熱意に心を動かされ、勇気を出して二人で大会に出ることになるが…。

 平河ゆうきと申します。このたび、第10回角川つばさ文庫小説賞一般部門にて、金賞をいただきました。私自身と受賞作についてお話しすることが、公募へ挑戦する皆様の参考になれば嬉しく思います。
 小説の新人賞受賞を目指すにあたり、特定のジャンルへの応募に集中すべきでしょうか? 必ずしも、そうではないと考えています。 私の場合、ジャンルや題材にこだわりなく「笑って泣けるエンタメ作品」を書きたいという思いがあります。そのため、とにかくいろいろ書いてみようと一般文芸からライトノベル、ライト文芸、漫画原作まで様々な賞へ応募を続けました。
 転機になったのは第5回角川つばさ文庫小説賞です。初めて児童向け作品を応募してみたら、2次選考通過となかなかの結果。これは適性があるかも! と思い、必ずもう一度挑戦しようと決めました。(数年かかってしまいましたが…)
 応募作の内容を考える際に指針となったのは、それまでに書いた作品でした。いい結果が出ているのは、スポーツものライトノベルと、女性ふたりを主人公にした小説。ならば、ダブルスがある競技でペアを組む女子ふたりを主人公にしたスポーツもので行こう、と。
 集大成のような作品で初めて受賞できたのですから、結局は積み重ねが大事なのだと思います。

表彰状。贈賞式はオンラインで開催されたため、実際に手渡されたわけではなく、郵送で受け取ったそう。

 ダブルスがある競技のうち小学生に身近そうなもの、ということでバドミントンを題材に選びました。が、問題がひとつ。
 私自身にバドミントン経験が全くないことです。今さら競技を始めるのもハードルが高い。なら、勉強するしかないじゃない!
 バドミントンを題材にした小説はもちろん、女子バドミントン漫画『はねバド!』や専門誌である「バドミントンマガジン」、小学生向けの技術書などを読み漁りました。それから、試合やレッスンの動画の視聴も。
 また、児童向けという分野も縁遠いものでした。子どもの頃は児童向け小説をほぼ読まず、もっぱら漫画とゲームばかり。そのまま大人になってしまったし、身近に子どもがいるわけでもない。なら、勉強するしかないじゃない!(2回目)
 やはり応募しようとする賞についてネットで調べるだけではなく、先行作品を実際に読むことは必要かと思います。児童向けならではのテンポや表現、挿絵の雰囲気、フォントが思いのほか自由だということなんかは読んでみないとわかりません。
 本気で受賞を狙うのであれば、それ相応の手間をかけるべきでしょう。入念な準備をしたうえで執筆することをおすすめします。がんばってください!

手書きのメモと、印刷したプロットおよび原稿。「効率的ではないかもしれませんが、思いついた内容はいったん手で書いてからプロットにまとめています」と、平河さん。

主催者サイト:第10回角川つばさ文庫小説賞