紙とハサミで広がる童話の世界「第14回アンデルセン公園きりがみコンクール」
公益財団法人船橋市公園協会では、「アンデルセン童話」に関する、折り方や切り方を工夫した、創造的なきりがみ作品を募集しています。締め切りは2022年12月28日。アンデルセン公園きりがみ大賞には、「アンデルセンの足跡をたどる」デンマークへの旅が贈られます。切り紙で、好きなお話のワンシーンを描いてみませんか?
「切り紙」の名手だったアンデルセン
「人魚姫」「裸の王様」「マッチ売りの少女」など、誰もが知っている童話を数多く手がけたデンマークの作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセン。皆さんは、彼が“切り紙”の名手だったことを知っていますか?
アンデルセンは、友人やその子どもたちに、童話を聞かせながらハサミを走らせ、切り紙を作って喜ばせたそう。折りたたまれ、切り込みの入った紙をそっと広げると、そこに現れる童話の世界。実際に目にした子どもたちはワクワクがとまらなかったでしょう! 彼が作った妖精や踊り子の作品は、ファンタジーあふれる素晴らしいものばかり。その数は数百とも数千ともいわれ、現在も250枚ほど残されています。
紙とハサミがあれば、いつでも、どこでも、誰でも楽しめる「きりがみ」。ハサミに夢をのせて、アンデルセン童話の世界を、自分らしい視点で切り取ってみましょう!
表と裏の意味を作品に込めて
幼少期は、貧しい家庭で育ったアンデルセン。その経験は「マッチ売りの少女」などさまざまな作品に散りばめられています。やさしい童話のなかに、人生の真実が描かれていることを感じますね。アンデルセンの切り紙にも、一見して分かる意味の裏に、実は深い含意が秘められていることが多いとのこと。表と裏の意味を共に表現しようとする手法は、アンデルセンの童話と切り紙の両方に共通していたと考えられます。
ではここで、前回の受賞作品をご紹介しましょう。
大賞を受賞した「みえていない権力者」は中学1年生の作品。王様のゆがんだ表情が心を刺しますね。黒い線による描写に、さまざまな色と形を重ねた切り紙ならではの手法が、不穏な空気を作り出し、「批判や反対意見、真実を受け入れない」王様の心理を表現しています。またトランプの絵札になぞらえることで、一見素晴らしく見えることの裏には、覆い隠された「真実」が潜んでいるかもしれないことを印象付け、権力者への痛烈な批判が感じられます。
こちらは、アンデルセン公園子ども美術館賞受賞の「まほうの犬」。小学2年生のこの作品は、楽しい表現に選者から笑みもあふれたそう。作者が夢中で切り紙をした姿が浮かんでくる、生き生きとした作品です。
白と黒、そして表情の対比に目が奪われる本作品。幼い頃の姿と美しい白鳥に成長した姿を対比させ、外見からは分からない内面の美しさをも表しているよう。アンデルセン自身の作品にも近いかたちだったそうです。
子どもの頃に誰もが読んだことのある、アンデルセン童話。そして、一度は作ったことのある切り紙。初めて童話を読んだときのワクワクした気持ちを表現してもよし、アンデルセンの人生を知り、作品に込められた意味を考えながら表現するもよし。しばしアンデルセン童話の世界に浸り、あなたならではの味わいのある作品を生み出して!
森野たぬき
チョコレートが大好きな公募情報ライター。児童文学や童話の公募を見ると目が輝いてしまう。趣味はクラリネット。
出典:https://www.park-funabashi.or.jp/and/kodomo/competition.php?period=2022042420221228
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